小学生の英語が正式科目で必修化に!英語教育はどう変わった?メリットやデメリット
「2020年から小学校で英語教育が必修化されたって聞いたけど、何が変わったのだろう?」と疑問に感じていらっしゃるパパ・ママは多いのではないでしょうか?
実は、英語が「2020年度に英語教育が必修化した」の一言を聞いただけでは、いつからどう変化したのかは、若干わかりにくい点もあります。
なぜなら、英語教育として、小学校では、「外国語活動」と、教科としての「外国語科」、という2つの位置づけの授業が使い分けており、こういった位置づけを踏まえた変化は、「必修化」という一言だけからは読み取りにくい面があります。
また、移行期間が設けられているため、2020年度からの必修化に先立ち、その少し前から変化が始まっていたため、2020年度より前の変化を知っていた方は、逆に混乱したかもしれません。
この記事では、小学校での英語教育の移り変わりの概要や、必修化によってどのようなメリット、デメリットがあるのかを、ご紹介いたします。
目次
小学校の英語教育はどう変わった?
(1)「必修化」で何が変わった?
文部科学省による学習指導要領の改正により、小学校での英語教育はこの十数年の間に、以下のように変化しています。
- 2011年度
小学校高学年において「外国語活動」を導入。
- 2017年3月31日
文部科学省が、英語必修化を定める新たな小学校学習指導要領を公示。
- 2018年度
英語必修化に向けた移行期間として、多くの小学校で3・4年生の「外国語活動」を開始。
- 2020年度
3・4年生は「外国語活動」、5・6年生は「外国語科」として、英語必修化を全面実施。
2011年度~ | 2018年度~ | 2020年度~ | |
3・4年生 | 移行期間 | 外国語活動 | |
5・6年生 | 外国語活動 | 移行期間 | 外国語科 |
(2)3・4年生で「外国語活動」が全面実施
では、2020年度から3・4年生で全面実施されることとなった「外国語活動」とは、どのようなものなのでしょうか?
「外国語活動」では、聞くことと話すことを中心に、外国語に親しみを持つことを目指します。
より具体的には、学習指導要領では「外国語活動」の目標として、以下の内容が掲げられています。
外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,話すことの言語活動を通して,コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
引用:https://www.mext.go.jp/content/1413522_001.pdf
(1)外国語を通して,言語や文化について体験的に理解を深め,日本語と外国語との音声の違い等に気付くとともに,外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむようにする。
(2)身近で簡単な事柄について,外国語で聞いたり話したりして自分の考えや気持ちなどを伝え合う力の素地を養う。
(3)外国語を通して,言語やその背景にある文化に対する理解を深め,相手に配慮しながら,主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。
(2)5・6年生で「外国語科」が前面実施
では、5・6年生で全面実施されることとなった教科としての「外国語科」とは、一体どのようなものなのでしょうか?
「外国語科」では、聞くこと、話すことに加えて、読むことや、書くことも学習内容に加わってきます。
より具体的には、学習指導要領では「外国語科」の目標として、以下の内容が掲げられています。
「外国語活動」にはなかった話すことや書くことが加わり、知識・技能の理解も求められています。
外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,読むこと, 話すこと,書くことの言語活動を通して,コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
引用:https://www.mext.go.jp/content/1413522_001.pdf
(1)外国語の音声や文字,語彙,表現,文構造,言語の働きなどについて,日本語と外国語との違いに気付き,これらの知識を理解するとともに,読むこと,書くことに慣れ親しみ,聞くこと,読むこと,話すこと,書くことによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる基礎的な技能を身に付けるようにする。
(2)コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,身近で簡単な事柄について,聞いたり話したりするとともに,音声で十分に慣れ親しんだ外国語の語彙や基本的な表現を推測しながら読んだり,語順を意識しながら書いたりして,自分の考えや気持ちなどを伝え合うことができる基礎的な力を養う。
(3)外国語の背景にある文化に対する理解を深め,他者に配慮しながら,主体的に外国語を用いて コミュニケーションを図ろうとする態度を養う。
小学校英語の必修化メリット
では、小学校の英語教育の必修化には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
2011年度から既に高学年において「外国語活動」を導入していました。その中で成果が出た一方、いくつかの課題が指摘されていました。
この課題を解決するために行われたのが、英語必修化です。
英語必修化と呼ばれる変化によって、今後は、従来の課題が解決され、以下のようなメリットが現れることが、期待されています。
(1)外国語学習への動機付けが高まる
従来、学年が上がるにつれて児童生徒の学習意欲に課題が生じるといった状況が指摘されていました。
この点について、3・4年生という、より早期から英語に慣れ親しむことで、外国語学習への動機づけを高めていくことが、期待されています。
(2) 総合的・系統的に学ぶことができる
これまで、小学校高学年の英語教育は、聞く、話すといった音声中心の授業となっていました。
しかし、音声中心の授業では、日本語と英語の音声の違いや、英語の発音と綴りの関係,文構造の学習などにおいて、課題があることが、指摘されていました。
この点について、高学年の時期は、児童の抽象的な思考力が高まる段階であることを踏まえ、これまでより体系的な指導を行うことによって、総合的・系統的な理解の促進が図られることになりました。
(3)中学校での学習への接続がスムーズになる
英語必修化前の状況として、中学校で文字による学習を行う際、小学校で音声中心の授業によって学んだこととの間で、円滑な学習の接続がされておらず、進学後にそれまでの学習内容や指導方法等を発展的に生かすことができない、といった課題も指摘されました。
この点について、小学校高学年から読み書きも開始することで、この接続をよりスムーズに行うことができるようになることが、期待されます。
小学校英語の必修化デメリット
英語教育の充実によって、日本の子供たちの語学力が向上していくことに、大いに期待していきたいところですが、英語の必修化には、学習時間の確保という、大きな課題もあります。
英語必修化により、2017年度当時と比較して、2020年度には、3・4年生で年間15時間、5・6年生で年間50時間の外国語教育が、追加されることになりました。
カリキュラムを組んで下さる先生たちも、授業を受ける子供たちも、大変ですね。
学校における授業時間以外にも、理解の定着のため、英語の家庭学習が必要となる場合もあるでしょうから、子供たちは、ますます忙しいですね。
小学生時代の子供には、自由にのびのび遊んで過ごす空白の時間も確保してあげたいという気持ちもありますし、このあたりのバランスは、なかなか難しいところではあるかと感じます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
小学校の英語教育必修化による変化について、概要をつかんで頂けましたでしょうか?
グローバル化が進む現代社会で、英語を使うことができれば、子供たちの将来の可能性は大きく広がります。
インターネットやアプリの発達で、動画・音声などの英語素材は、昔に比べて格段に入手しやすくなりました。
子供自身が興味や学習意欲を持つことさえできれば、英語を習得しやすい環境は、既に整っています。
英語必修化によって、英語を好きになる子供が増えていくことに、期待したいですね。
最後まで読んで下さいまして、ありがとうございました。
この記事を書いた
サポーターパパ
息子と自然散策やレゴをするのが大好きな、共働きパパです。
楽しく充実しながらも、仕事&家事&育児で休みなく追われる日々を、毎日、全力で過ごしていましたが、ある時ふと気づくと、一人息子も成長し、徐々に生活の中に、空白の隙間時間ができてきました。
空いた時間を何に使おうかと思っていた時、サポーターパパとしてのお仕事をする機会を頂きました。
忙しい毎日を送る子育てパパ・ママのために、そして、未来の日本を担う大切な子供たちのために、少しでもお役に立てる記事が執筆できるよう、頑張ります。
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歯科医師
監修
ゆう歯科クリニック
伊藤裕章先生 監修