赤ちゃんの月齢別で気をつける室内事故は?注意点と対策を解説
赤ちゃんのうちは、まだ大人ほどの体力はなく、加えて外出による病気等のリスクが大きいため、必然的に家で過ごす時間が多くなります。
さらに、近年ではコロナ禍によりますます家で過ごす機会が増えたご家庭も多いかと思われます。
そうなると、当然気をつけなくてはいけないのが室内での事故や怪我。
赤ちゃんの目線、行動のしかた、体のつかい方、そのどれもがまだ大人の常識や感覚とは違うため、親がちょっと目を離した隙に思わぬ事故が起こり、怪我をしてしまうこともあります。
それが軽い怪我ならまだ良いのですが、重篤な後遺症の残る怪我や、最悪の場合、死亡につながる怪我もあるのです。
では、どういった怪我の危険があるのか、またそれを防ぐための対策はどんなものがあるのでしょうか。
今回は赤ちゃん(乳幼児期)の室内での危機管理について解説していきます。
今まで大人が何気なく過ごしていた生活環境でも、赤ちゃんにとってはいろんな危険が潜んでいます。
この記事を読んで、少しでも赤ちゃんの安全について考えるきっかけになれば幸いです。
目次
赤ちゃんの月齢別で気をつける室内事故
消費者庁が公表しているデータによると、1年間で0歳~14歳のお子さんによる怪我がおよそ8,000件発生しています(平成28年4月~平成29年3月時点)。
また、「不慮の事故」で亡くなったお子さんの人数は昔と比べて年々減少傾向にあるようですが、それでも近年においてもお子さんの死亡原因全体の上位として位置づけられています(ちなみに、ここで言う不慮の事故とは、室内での事故に加えて交通事故など屋外での事故も含まれます)。
※参照:こどもの事故の現状について(消費者庁資料)
子供の事故に関するニュースは時々聞かれますが、数字だけではあまりピンと来ないかもしれません。
では、どういった事故や怪我が起きているのか、ここからは赤ちゃんの月齢別で起きやすい室内での事故を細かく具体的に挙げていきます。
新生児期
この頃はまだ自分で動くことが出来ない状態ですが、その分周囲の不注意等による事故に気をつけなければいけません。
<代表的な事故・怪我>
- 持っていた物(食器、リモコン、本、重たいかばんなど)を誤って落として子供に当たってしまった
- 近くの棚やテーブルの上から何かの拍子に物が落ちてきて子供に当たってしまった
- 不安定な場所に寝かせてしまい、そこから転落してしまった
- お兄ちゃんお姉ちゃんが無理矢理抱き上げようとして失敗して落としてしまった
- お兄ちゃんやお姉ちゃんがついおかしなどを食べさせてしまい、のどに詰まってしまった
<特に注意>
特に気をつけなくてはいけないのが、リビングや寝室での事故です。
柔らかいクッション、布団やまくらに顔が埋まってしまい、そこから起き上がることが出来ず窒息して事故死したケースがこれまで数多くありました。
赤ちゃんが寝ているとき、パパママも一緒に寝てしまい、窒息に気がつかないケースも見られますので就寝時は特に注意が必要です。
また、新生児のうちは胃が未発達のため、飲んだミルクを吐き戻してしまうことが多くあります。
寝ている状態でそれが起きると吐いたミルクがそのまま喉につまって窒息の危険性があります。
乳幼児期
この頃は寝返り~ハイハイ~つかまり立ちと徐々に自分で移動し始める時期です。
それに合わせて怪我の原因も周囲の不注意に加えて赤ちゃん自身の行動によるものが増えてきます。
<代表的な事故・怪我>
- ベッドやソファー、階段などからの転落
- 床に落ちているものによる怪我(はさみ、画鋲、ボールなど)
- テーブルや棚の角にぶつかる
- 周囲のものによる窒息(家電のコードに偶然からまる、柔らかいクッションに顔が埋まり抜け出せなくなる など)
- リビングや台所でのやけど(熱いお鍋やストーブにさわってしまう)
- ペットの大きな犬が赤ちゃんに噛みつく
- 1歳未満の赤ちゃんがはちみつを食べることで、乳児ボツリヌス症にかかり、まれに亡くなることがある
<特に注意>
まわりのものに興味を持ち、手を使うことが出来るようになってくるため、その辺に落ちているものはなんでも手でつかんで口の中に入れようとします。
大人が一見気づかないけれど赤ちゃんの目線では見えているもの(服のボタン、1円玉などの小銭やコイン、クリップ、紙の切れ端、たばこの吸い殻など)を置く際は要注意です。
つい飲み込んでしまい喉に詰まって気道を塞いでしまったり、胃で消化不良を起こしたりと非常に危険です。
幼児前期(1歳~3歳)
この頃は一人で歩くようになり行動範囲もぐっと広がりますが、こうしたら危ないといった先々の予測がないまま自由に動き回るため、思わぬ怪我や事故につながります。
<代表的な事故・怪我>
- 階段、ベランダなど高いところからの転落
- 何かを取ろうとしての怪我(カッターやはさみなどを落とす、コップの熱い飲み物をひっくり返すなど)
- 危険なもの(はさみ、アイロン、包丁など)を持っているパパママに飛び掛かって怪我をする
- 誤飲(豆や飴などのどに詰まりやすいものや、色鮮やかな化粧品や洗剤、キラキラしたシールなども注意)
<特に注意>
お湯をはった状態での浴槽や水の入った水槽で溺れてしまうことにも注意が必要です。
まだ月齢が低いうちは体に対して頭が大きく重さもあるため、覗き込んでそのまま顔がつかってしまい、重い頭を持ち上げられず抜け出せなくなる危険性があります。
幼児後期(4歳~6歳)
この頃になるとだいぶ運動能力も身に付き、ある程度の危険予測は出来るようになってくるため、徐々に乳児~幼児前期までのような室内での事故や怪我は減っていきます。
しかし、今までに比べるとだいぶ動きが活発になるため、転倒や転落などの怪我には注意が必要です。
<代表的な事故・怪我>
- よそ見をして走っていて人や物にぶつかる
- バランスの悪いところ(箱やいすの上など)に上り、バランスを崩して転倒
- 棚の上など高いところのものを無理に取ろうとして落としたり、バランスを崩して転倒したりすることによる怪我
- 火器(ストーブ、ガスコンロ、ライターなど)を誤って使用したことによる怪我ややけど(最悪の場合、火事にまで発展してしまうので注意)
- 子供がドラム式の洗濯機の中に閉じ込められて窒息
<特に注意>
高いところ、窓、ベランダや階段の上からの転落は非常に危険です。
月齢が上がると、階段の上り下りや窓のカギを開けるなど一人で出来るようになっていきます。
そこがいかに危険な場所かということは子供のうちはもちろん分かりませんし、「危ないよ」と言葉だけで伝えて分かってもらうのも時間がかかります。
きちんとした対策が必要です。
月齢別での代表的な事故や怪我の例を挙げてきました。
ですが、各ご家庭によって、家の間取り、家具等の配置、お子さんの性格等様々なので、上記で挙げた事例の他にも「ウチだったらこんな危険があるかも」と想定できる事故や怪我があるかもしれません。
いろんな危険を想定しておくことは、赤ちゃんの安全を守る上でとても大事なことだと思います。
パパママ同士で、家庭内での危険個所について一度しっかり話し合う機会をつくってみてはいかがでしょうか。
赤ちゃんの室内事故が起きないための対策
ここからは、先ほど挙げた事故や怪我が起きないための予防や対策について解説していきます。
当然、赤ちゃんのうちは怪我や事故に対する経験が乏しく、自分で考えて行動する力が備わっていないので、自分で気をつける、あらかじめ対策をする、なんてことはまだ出来ません。
なので、こうした事故防止のための安全対策をきちんととってあげることはパパママの大事な役割です。
どういった対策があるのか、一緒に見ていきましょう。
なるべく目を離さない
子育てをするにあたり、まず必ずと言っていいほど耳にする言葉です。
何か怪我をしそうな危ないところへ行ったり、危険なことをしたりしていないか、何か誤飲しそうになっていないか、そういったことを未然に防ぐための大事な対策です。たとえ赤ちゃんが転んで泣いてしまっても、ちゃんと見ていれば「転んで痛くて泣いているんだな」とすぐに状況を把握することが出来ます。
また、月齢が上がるとまわりの状況を感じ取れるようになってくるため「パパママがちゃんと自分を見てくれている」→「きっと怪我をしてもすぐに助けてくれる」→「だから安心。のびのびあそぼう」という心理につながります。
とはいえ、四六時中お子さんから目を離さない、というのはさすがに一人では大変なので、パパママ、じいじばあば、兄弟がいればお兄ちゃんお姉ちゃん、みんなで協力して見守ってあげてくださいね。
子供の手が届きそうなところには危険なものを置かない
これも必ず耳にする言葉です。
これをきちんとすることで、赤ちゃんに非常に多い誤飲事故や物の落下等による怪我を未然に防ぐことが出来ます。
代表的なものの一覧を挙げていきましょう。
- 刃物類(カッター、はさみなど)
- 食器類(なべ、フライパン、陶器やガラス製のお皿やコップなど)
- たばこ、お酒
- ライター、マッチ
- 洗剤類
- 化粧品
- 喉に詰まりそうな食べ物(豆、飴など)
- クレヨン、絵の具、えんぴつ
- ティッシュペーパー
他にも各ご家庭によってまだまだあるかと思います。
パパママ協力して改めてお部屋のチェックをしてみてください。
部屋はなるべくこまめに掃除
これも先ほど解説した誤飲を防ぐために重要な対策となります。
特にハイハイの時期などはお子さんの目線は基本的に前方よりも下の方に向いているため、大人よりも床に落ちているものに目が行きがちです。
「服のボタン」「クリップ」「丸めたティッシュ」「折れた鉛筆の芯」「1円玉」「小さなシール」「おかしの包み紙」これらはすべて月齢の低い赤ちゃんが口に入れる対象物です。
ただ、この時期の赤ちゃんの行動範囲はそれほど広くはないはずですので、その範囲だけで構わないのでこまめに掃除機をかけるなどしておきましょう。
窒息防止
新生児期~乳児期に非常に多い窒息事故。
原因は誤飲に加えてクッションやお布団に顔が埋まってしまう、というケースがとても多いです。
柔らかすぎるクッションやソファーは赤ちゃんの手の届かないところに一旦しまい、大人が今まで使っていた柔らかめの敷き布団や枕で寝かせることは出来るだけ避けましょう。
子供向けのベビーベッドや赤ちゃん用の固めのお布団を購入するのがベストです。
大人の布団で一緒に寝る際には、転落事故の防止のためベッドより布団がベスト。
そして布団と布団や布団と壁の間はピッチリくっつけて、隙間をあけないようにしましょう。
また、ベビースリーパーを利用すると、上まで布団を掛けなくても赤ちゃんが風邪を引くことがなくなるため、窒息の事故防止に繋がります。
危険な場所には行かせないように対策
大きな危険が及びそうな場所にはゲートや柵などを設置して通れないようにしておきましょう。
台所、お風呂場、階段、ベランダ、これらの場所はお子さんにとって、やけど、溺水、転落などの可能性がある大変危険な場所です。
高さ数10メートルのベランダから子供が落ちてしまったら…。鍋いっぱいの沸騰したお湯が全部子供にかかってしまったら…。別の用事をしていてお風呂場の浴槽で子供が溺れているのに気づかない…。想像しただけで怖くなります。
夢でもそのような夢は絶対に見たくないですよね。
しっかりと備えてあげてください。
なぜ危ないのかきちんと伝える
幼児後期になると、パパママが言ったことを理解してくれるようになってきます。
危ないことをしたときには、ただ叱るだけでなく、なぜ危ないのかきちんとお子さんに伝えてあげましょう。
繰り返し伝えていくことで、段々と危ないことはしないようにしようという気持ちが芽生えてきます。
また、絵本等を読み聞かせてお子さんにイメージしてもらうのもおススメです。
まとめ ~怪我も大事な経験~
今回は月齢別で気をつける室内事故について解説致しました。
ただ、子供は発達が未熟な段階なので、どんなに対策をしても怪我を100%防ぐことはとても難しいです。
何もない所を走っていて突然転んで怪我をすることだってあります。
なので「絶対怪我させないようにしなきゃ」と必要以上にお子さんに干渉したり神経質になったりする必要はありません。
なぜなら子供は怪我をしてその痛みを知ることで、段々と怪我をしないようにはどうすれば良いか自分で学んでいくからです。
そういった自分で考える力がのちのちお子さんの成長や自立につながっていきます。
怪我をして泣いている姿を見るのは親としては心苦しいのですが、怪我をさせるということもとても大事なことです。
ただし、命にかかわる怪我や事故は別問題です。
わが子の命を守るのは親の大切な役目。
パパママ協力し合って、しっかり備えて、みんなでお子さんの安全を守っていきましょう。
この記事を書いた
サポーターパパ
お出かけ大好き、あそぶこと大好き一児のパパです。
児童館、学童クラブに15年勤め、現在は新たなフィールドである、会社員兼子育てwebライターとして活動しています。
子どもってかわいい!楽しい!おもしろい!子育てはとても素敵な発見と刺激を毎日与えてくれます。大変なこともたくさんありますけどね(ぐったり…)。
今までたくさんの子どもと関わってきた子育て支援員としての視点、そしてパパならではの視点で、子育て真っ最中のパパママ、これからパパママになる皆さんのお役に立てるような、いろんな情報を発信していきます。
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歯科医師
監修
ゆう歯科クリニック
伊藤裕章先生 監修