ほったらかし育児と放任主義の育児は何が違う? 子どもを伸ばす放任主義の育児の方法とメリット
「放任主義」という子育ての方針を耳にしたことがありますか。
放任主義は、子どもの自由を尊重する子育てを指しますが、しばしば子どもを放置するほったらかし(放置)育児と混同されることもあるようです。
「無関心とはどう違うの?」「放任もほったらかしもどちらもダメじゃないの?」というパパママも多いはず。
そこで今回の記事では、それぞれの特徴を整理し、放任主義のメリット・デメリットをご紹介します。これから放任主義で子育てをしていきたいと考えているパパママ、子育てのヒントになるような情報がほしいパパママ、ぜひ参考にしてください。
目次
ほったらかし育児と放任主義の育児の違い
「ほったらかし」と「放任」
言葉から受ける印象は似ていますが、その子育て方法はまったく違います。
混同するパパママもいますが、放任主義の育児は子どもと親とが信頼しあい、愛情で満たされているのがポイントです。
この「信頼」や「愛情」は外から見えないものなので、言葉のイメージが似ていることも相まって、誤解を生んでしまうのかもしれません。
そこで、まずはほったからかし育児と放任主義の育児の違いを整理していきます。
ほったらかし育児
ほったらかし育児は、「放任」の意味を「放置」と同じ意味だと誤って解釈し、子どもに必要な家庭教育(しつけ)の部分まで放棄してしまっている状態です。
親の子どもに対する関心が薄いため、子どもが発するSOSに気づきにくいということもあります。
ルール違反や危険な行動をしてしまった場合にも、叱ったり諭すことをせず、そのままというケースが多いでしょう。
子どもと親との間に信頼関係が乏しいため、子どもが安心して過ごすのが難しくなってしまいます。
放任主義の育児
放任主義は、子どもが行う行動を単に見過ごすのではなく、子どもの意思をできるだけ尊重するために干渉しすぎないようにするという子育てです。
わが子のことが心配なあまり、つい先回りをして対応したり、子どもの選択や行動に「○○のほうがいいんじゃない?」「○○はまだ難しいよ」と口を出したくなったりするパパママも多いでしょう。
しかし、あえて干渉せず、子どもに必要とされているときに、しっかりと向き合いサポートするというのが放任主義です。親としても、深い愛情と忍耐が必要です。
放任主義の子育ては、社会のルールなど基本的な家庭教育(しつけ)をした上で見守りができている状態といえるでしょう。
放任主義の育児とほったらかし育児の大きな違いは、親とこどもとが信頼しあっているということです。信頼関係が築けているからこそ、子どもは安心感を持って多様なことへの挑戦ができます。
以上、ほったらかし育児と放任主義の育児の違いを整理しました。
「子どもに必要な家庭教育(しつけ)をした上で、子どもを信頼して見守っているかどうか」というパパママの姿勢が大きな違いだとお分かりいただけたかと思います。
子どもを伸ばす放任主義の育児の方法とポイント
放任主義の子育てに魅力を感じ、いざ実践しようとするとぶつかるのが「ちょうどいい放任主義」の壁です。
子どもへの信頼と愛情をもった放任でなければ、どこかで不具合が出てくる可能性もあります。
パパママの中に「気づいたらほったらかし育児にならないかな」と不安に思う人もいるのではないでしょうか。
放任主義の子育てでは、どのような点に気をつけて子どもに関わればいいのか、押さえておくべき重要な点を整理してみました。
親子の信頼関係をしっかり築いておく
放任主義の子育てには、パパママと子どもとの信頼関係がカギです。
自由に過ごせることで、子どもが「パパママは僕(私)に興味がないのかな」と不安を感じてしまっては本末転倒です。
そうならないために、普段から子どもの様子をしっかり観察し、小さな変化にもすぐに気づいて対応できるといいですね。
また、言葉やスキンシップで「何かあってもパパやママが助けてあげるから、好きにやってみてもいいんだよ」という気持ちを伝えることも大切です。
子どもは安心して挑戦できる環境が整っていれば、自信を持って動くことが可能になります。
子どもに干渉せずに見守る
放任主義のスタンスは、子どもを干渉せずに見守ることです。
子どもの考えや行動は未熟なところが多く、パパママが「失敗してほしくない」「傷ついてほしくない」という気持ちをもつのも自然のことです。
つい言葉や行動に出してしまいたくなりますが、ルール違反をしたり、危険なとき以外はぜひ「子どもの成長のチャンス」ととらえ、いろいろな経験をさせてあげてください。
生活習慣や社会のルールはしっかりと
いくら放任主義といっても、子どもの生活習慣・生活リズムを崩すような自由度は心身の発達に望ましくありません。
起床(就寝)時間、食事やお風呂の時間など生活リズムを保つ上でカギとなる時間や、歯磨きや手洗いといった生活習慣は、親が導いて、きちんと身につけるようにしましょう。
また、ルール違反や危険な行動をした場合には「してはいけないよ」ときちんと伝えることも大切です。感情に任せて怒るのではなく、どうしてそのような行動をしたのかを子どもから聞き、なぜダメなのか子どもの理解度に応じて説明しましょう。
子どもの失敗を受け入れる
放任主義の子育てでは、子どもが間違えたり、失敗してしまったりすることも「あるある」です。そんなときも、子どもの様子を見守りながら放任しましょう。
なぜ失敗したのか、次はどうしたらいいのか、子ども自身が考えて乗り越えることは貴重な経験です。
また、パパママが子どもの行動の結果にこだわらないことも大切です。
大人の物差しで、子どもの言動を「成功」「失敗」と評価していくと、子どもはそれを気にするようになってしまい、結果的に自主性が損なわれることに繋がります。
パパママは、子どもが1歩を踏み出したとき(行動のはじまり)や過程に注目するよう心がけましょう。
子どもから助けを求められたら全力でサポートする
基本的には子どもに干渉せずに見守りますが、子どもが困っているときや助けを求めたときはパパママの出番です。子どもが求めていることを全力でサポートしましょう。
「僕(私)が困ったときはいつでも助けてくれる」とパパママの存在を感じとることによって、親子間の信頼関係が一層強固になります。パパママが安全基地として存在することで、子どもはいろいろなことに挑戦したり、失敗したときもすぐに立ち直れるのです。
放任主義の育児のメリット・デメリット
さて、ここまで読んで「ほったらかし」と「放任」の違いや、放任主義で子育てする際に押さえたいポイントがお分かりいただけたかと思います。
では、放任主義の魅力的な点、注意すべき点にはどのようなものがあるのでしょうか。
メリット
- 自分で考え、判断し、行動する経験を積み重ねるので主体性が育まれる
- 本人が尊重されてきた経験から、自分とは異なる考え方や行動に対しても寛容になる
- 自分の決断で何かを達成した経験が大きな自信となり、自己肯定感を培う
- 自分の感情や考えを臆さずに表現できるようになる
- 子どもの興味関心が広がり、独創的な世界観や創造性を育める
デメリット
- 親子間での信頼関係が築けていないと、子どもが不安を感じることがある
- 周囲から、ほったらかし育児(ネグレクト)をしているように誤解されることがある
- 叱るときの加減を間違えると、ほったらかし育児になってしまうので難しい
- あえて失敗を見守り、自力で乗り越えられるように成長するのを待つ機会が多いので、パパママ側は時間、労力、精神力が必要
- 生育環境との違いから、学校や社会の規則やマナーに対してストレスを覚えることもある
このように、放任主義にはたくさんの魅力があると同時に、いくつか気をつけたい点もあります。
ご家庭での子育てに取り入れるときは、ぜひご夫婦で話し合ってみてくださいね。
まとめ
ほったらかし育児と放任主義の育児の違い、放任主義での子育て方法やおさえたいポイントなどを紹介しましたが、いかがでしたか。
子育ての方針と聞いて身構えていたパパママの中には「意外と普通」「もっと何か特別な方法、難しいことがあるのかと思っていた」と拍子抜けした人もいるでしょう。
完全な放任主義ではなくても、日常の子どもとのやり取りで活かせそうなことが多いと思います。この記事を読んで少し興味がわいたパパママがいれば、ぜひご家庭にあわせた形で取り入れてみてください。
この記事を書いた
サポーターママ
-30℃から30℃まで外で駆け回る元気いっぱいの長女、恐竜とおままごとが大好きで甘え上手な次女のママです。
沖縄出身で、海や川であそぶのが大好き。結婚を機に北海道に移住してからは、子どもと一緒に雪あそびを楽しんでいます。
大がつくほどの暑がりでしたが、最近は温泉の魅力にハマりつつあります。
子育て中のママパパはもちろん、妊活中・妊娠中のプレママパパが、妊娠や出産、子育てを前向きにイメージできるような情報をお届けしたいと思っています。
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歯科医師
監修
ゆう歯科クリニック
伊藤裕章先生 監修