運筆練習の重要性と効果:始め時と体験談から見える成果
ひらがなやカタカナを書く前のステップとして注目されているのが「運筆」です。
曲線やとめ、はねなど、鉛筆の基本的な動かし方を学べるとして早い段階から始める人が増えています。
早い子だと、幼稚園年中頃から自分の名前が書けたり、ある程度のひらがなが読めたりします。
そんな子を見るとついつい焦ってしまい「我が子にも早くひらがな学習を!」と思っているパパ・ママも多いのではないでしょうか。
しかし、あまりに早く、いきなりひらがな等の文字を書こうと必死になるのはおすすめできません。
その前段階として必要なのが「運筆」です。
今回は、そんな運筆の重要性と効果について、筆者の実体験を交えて、始め時や成果についてご紹介します。
目次
運筆練習の始め時とは?
一般的に、運筆練習の始め時は、クレヨンや鉛筆などの筆記用具が正しく持てるようになる2歳頃がおすすめと言われています。
握力も備わってくることと、2歳頃になると言葉もでてき、ある程度意思疎通がはかれるようになるため、進めやすいというのもあるかもしれません。
ですが、この時期の子供の成長度合いは、兄弟姉妹構成や、保育園に行っていて異年齢の子と過ごす機会が多いなど、生活環境や個人差で大きく差が開いてきます。
2歳になったからと言って無理に始めても、本人に全く興味がない場合はおいおい文字を書くことが嫌いになってしまう可能性があります。
まずは、普段のおえかき・ぬりえの様子をよく見ていてください。
クレヨンや鉛筆をもち、ぐるぐると円を書いたり、なぐり書きのような動作が増えてくるようであれば、運筆の始め時かもしれません。
ちらしや新聞紙など、書けそうなものがあればすぐ何か書きたがるようになるのも始め時のサインです。
ですが、始め時の年齢はあくまで目安と考えてくださいね。
筆者個人の意見としては、小学校入学時には自分の名前と、ある程度のひらがなの読み書きはできた方が良いのかなと思いますが、それ以前であれば子供が興味を持った時期が始め時だと思っています。
実際の運筆練習の体験談
では、実際に運筆練習を始める際はどのように始めていけば良いのでしょうか。
筆者は、2023年時点で小学2年生になる子供がいますが、運筆の練習と言えるものを始めたのは2歳頃からでした。
我が子はもともとお絵描きやぬりえなどの制作系が好きだったため、運筆のさらに前段階となる「なぐり書き」などは1歳過ぎからしていたと思います。
ですが、2歳頃になるとプリントで学校ごっこ風のようなことを好む時期があり、一気に運筆学習が進んだ気がします。
そこで、年齢・段階ごとにおすすめの運筆練習法をご紹介します。
①大きい紙に自由になぐり書き
最近は幼児用学習ドリルも充実しており、書店では運筆だけのものでも何種類もあります。
ですが、いきなりドリルやプリントなどから入るのではなく、まずは大きめの紙になぐり書きをしてみましょう。
筆者のおすすめは、100円ショップで売っている模造紙やロールタイプのらくがき帳です。
スタート時期は1歳でも、1歳未満でも、お絵かきに興味がでてきたらOKです。
はじめは握りやすい形になっている赤ちゃん用のクレヨンがいいでしょう。
マルでも線でもなんでも構いません。
好きな色で好きなように書いてみましょう。
この時期は正直何を書いているのか分からなくても、書いてみる、やってみることに意義があります。
ぜひ、たくさん誉めてあげてくださいね。
②お絵かき
なぐり書きになれてきたら、マルや線を書いたり、動物や人の顔など、何かをマネして書いてみたりしましょう。
できれば同じ形ばかりでなく、曲線、直線などいろいろな手の動きを経験できるよう、いろいろチャレンジしてみてください。
大人が簡単な絵を描き、子供にマネさせてみるのもいいですね。
ぬりえもおすすめですよ。
③なぞり書き
なぐり書き、お絵かきに慣れ、ある程度いろいろなものが書けるようになったら、次はなぞり書きに挑戦してみましょう。
1歳半~2歳ぐらいになると、なぞったり、マネしたりすることに興味を持つ子も増えてきます。
ドリルや無料でダウンロードできるプリント等を活用し、直線、曲線、波線、丸、三角、四角など、いろいろな形にチャレンジしてみてくださいね。
④迷路や点つなぎなどの学習プリントを活用する
なぞり書きがある程度マスターできたら、次は迷路や点つなぎなど、少し学習要素が入った運筆の練習にチャレンジしてみましょう。
一見、遊びっぽい迷路や点つなぎですが、運筆練習をしながらゴールまでの道のりを考えたり、点つなぎの場合は数字の順序を学ぶなどの学習要素が含まれています。
集中力もつくため、これらのトレーニングは、幼稚園入園以降から小学校入学前あたりの時期にするのがおすすめです。
なかにはこの頃になると「自分の名前ってどう書くの?」「これって何て書いてるの?」と運筆の練習をしているうちに、ひらがな・カタカナなどの文字そのものに興味を持つ子も出てきます。
その際は、ひらがな・カタカナ練習に少しずつ移行しても良いかもしれません。
しかし、ここからは筆者の経験談と個人的な意見になりますが、ひらがな・カタカナは小学校に入学すると、1年生の授業で読み方・書き方・書き順まで丁寧に教えてくれます。
入学前に自分の名前とある程度ひらがなは読めた方がいいとは思いますが、あまりに先取り学習をしすぎると学校の授業に新鮮味を感じられず、逆に学習意欲が低下してしまう可能性があります。
親としては、我が子が早い段階から文字に興味を持ってくれたことが嬉しく、ついついあれもこれもと教えてあげたくなりますが、先取り学習はほどほどにしてくださいね。
運筆練習の効果と意義
運筆の練習方法と体験談についてご紹介しましたが、そもそも運筆にはどのような効果や意義があるのでしょうか。
子どもが興味を持たない時期から無理にさせる必要はありませんが、運筆にはさまざまな効果があると言われています。
しっかりと丁寧な文字が書けると「知的な印象」「初対面での印象が良くなる」など将来的にも得する場面が多々あります。
大人になってから字を直そうと思っても、なかなか長年のクセが抜けず難しいものです。
ぜひ、幼少期からの運筆練習を大切にし、自分の字に自信が持てるような土台を作ってください。
それでは、運筆の効果と意義について、順番に見ていきましょう。
①筆圧・手首の動きが安定する
まずは、筆圧及び手首の動きが安定することです。
学校の授業や学習教材、スマホの普及などでデジタル化が進んだこともあり、昔に比べると筆圧の弱い子供が増えていると言われています。
運筆には、曲線や波線など手首も使う動きが含まれているため、しっかりと運筆の練習を行なえば手首の使い方が上手になり、筆圧が安定します。
また、回数をこなすことで鉛筆の持ち方に慣れ、しっかりとした文字が書けるようになりますよ。
小学校に入ると字を書く機会が一気に増えます。
限られた時間のなかでしっかりとした字が書けるよう、入学までに練習しておきましょう。
最近は筆圧が弱い子のために濃い鉛筆を良く目にしますが、筆圧の調整を学ぶことを考えると、あまり濃い鉛筆に頼り続けるのはおすすめできません。
幼児期は6Bぐらいからスタートし、慣れたら4B、小学校低学年の間は2B~Bを基本とすると筆圧が安定すると思います。
②集中力がつく
ドリル1ページ分でも継続的に取り組むことで集中力がつき、その後の小学校入学後の授業でも役立ちます。
また「しっかりした線が書けた」「きれいになぞれた」「迷路や点つなぎを最後までできた」という達成感は自己肯感のアップにもつながるため、入学後の勉強に対するモチベーションが向上するでしょう。
ただ、子供の集中力は年齢×1分程度と言われていますので、あまり無理のないようにしてくださいね。
③勉強習慣が身につく
椅子に座って鉛筆を持ち、姿勢に気を付けて文字や絵を書くことは勉強習慣の基礎となります。
幼稚園・保育園でも椅子に座って制作をする時間がありますが、小学校入学後の授業時間と比べると微々たるものです。
それまで1日の大半を自由に過ごしていた子が、小学校に入っていきなり45分×4~5時間の授業を週に5時間では疲れてしまいますよね。
ぜひ、運筆練習で椅子に座って机に向かう習慣を付け、小学校の授業の予行練習をしてみてくださいね。
幼児期の子供は小学生のお姉さん・お兄さんに憧れを持っている子もたくさんいますので「学校ごっこだよ~」と言うと案外やる気を出してくれるかもしれませんよ。
まとめ
運筆の重要性と効果について、いかがでしたか。
始め時の年齢はあくまで目安であって、大事なのは子供が興味を持ち始めたサインを見逃さないことです。
習いごとのように、毎週○曜日、〇分間ときっちり決めて取り組む必要もないと思います。
ですが、数を重ねることで上達し、子どもの自信につながることは確かです。
運筆練習は高価な学習教材や教室に通わなくてもおうちで気軽に取り組めます。
ぜひ、小学校入学までにいろいろ試してみてください。
学校ごっこ気分で親子で気楽に取り組んでくださいね。
この記事を書いた
サポーターママ
すみっこぐらしが大好きなおてんば女の子のママです。
育児とパートのすきま時間に、久しぶりのライター業を楽しんでいます。
趣味はランニングですが、最近はなかなかできていない現状...からだを動かすことも好きですが、食べることも大好きです。
コストコ、KALDIなどの輸入食品には目がありません。
「家族が楽しく過ごせるのが1番」をモットーに、程よく手抜きしながら日々家事・育児を楽しんでいます。
これまでの私の経験が少しでも多くの方のお役に立てたら嬉しいです。
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歯科医師
監修
ゆう歯科クリニック
伊藤裕章先生 監修