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ウガンダの教育

ウガンダの教育
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ウガンダは東アフリカに位置し、日本の本州と同じぐらいの面積を持つ内陸国です。

その人口は2023年現在約48百万人で、そのうちの約45%は14歳未満の子どもたちです。
日本は少子高齢化と言われ将来的な人口減少が心配されていますが、対照的にウガンダの合計特殊出生率は2021年の調査で4.6となっており、日本で第1次ベビーブームと言われた1949年の合計特殊出生率の4.32を超えるほどの数値となっています。

また、ウガンダの人口ピラミッドは富士山型をしており、それを見ても、高齢者が少なく15歳未満の人口が非常に多いことが分かります。

皆さんは「アフリカ」と聞くと、人々の生活は貧しく、子どもたちが学校に通うことは困難な状況にあるイメージを持つかもしれませんが、2018年に発表されたウガンダの「入学年齢に達した子どもが初等教育に入学した割合」は91%と比較的高い数字になっています。

これは、1997年1月にウガンダ政府がUPE(Universal Primary Education)政策として、ウガンダの貧困の削減と人材育成を目的に、初等教育の授業料無償化を開始したことが大きな要因であるとされています。
この初等教育の授業料無償化に伴い、無償化前の初等教育の総就学人数は1996年で310万人だったものが、2003年には760万人となり、ウガンダ政府が実施したUPE政策の取り組みは、家計を圧迫していた教育費の削減につながり、就学率の向上に大きく貢献したことがわかります。

このように、初等教育の授業料無償化はウガンダの子どもたちの就学率を押し上げ、今まで学校で勉強することを諦めていた子どもたちに恩恵をもたらしました。

今回は、そんなウガンダの学校で学ぶ子どもたちは学校でどんな教育を受け、子どもたちの教育環境にはどんな問題や課題があるのか、これから詳しく見ていきましょう。

参考資料:
https://worldpopulationreview.com
https://genderdata.worldbank.org
https://www8.cao.go.jp
https://www.epdc.org

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ウガンダの学校制度

ウガンダの学校制度は、就学前教育、初等教育、前期中等教育、後期中等教育、高等教育の5つに分かれています。

これらを日本の学校制度にあてはめると、就学前教育は幼稚園、初等教育は小学校、前期中等教育は中学校、後期中等教育は高校、高等教育は大学に相当し、初等教育は7年制、前期中等教育は4年制、後期中等教育は2年制の教育制度となっています。

ウガンダは1894年から1962年までイギリスの保護領であったことが影響し、英語が第一公用語となっています。そのためウガンダの学校では、主に言語は英語で授業が行われていて、英語が話せる子どもたちが多いのもウガンダの特徴です。

ウガンダの学校の新学年は通常2月に始まり、11月の終わりから12月の初めごろに学年末を迎えます。
都市部で暮らす子どもたちは、長期休暇の間は両親の田舎で親戚たちとゆっくりと過ごしたりして、地方での生活を経験しています。


各学校の制度の概要については、下記のとおりです。

就学前教育 – Kindergarten, Pre-school

就学前教育は日本の幼稚園に相当し、KindergartenやPre-schoolと呼ばれ、主に3歳から5歳の子どもたちが通っています。

クラスは日本と同様に、ベビークラス(年少組)、ミドルクラス(年中組)、トップクラス(年長組)に分かれ、ベビークラスから、英語のアルファベットや単語、文章の書き方、数字、絵の描き方、色の塗り方、生活習慣、歌や体操など、さまざまな教科を学ぶ時間があります。

就学前教育でも、学期ごとに中間テストや期末テストがあり、毎日宿題も課されています。
学期の終わりには各学期ごとに通知表も出され、学校での成績の評価がしっかりとなされます。

就学前教育では初等教育へ進むための準備を目的に学習が行われますが、政府からの資金援助はなく、初等教育に比べると就学前教育の授業料は高額になりがちです。
そのため、2016年のデータによると、就学前教育の就学率は約15%となっており、初等教育の就学率ほど高くはありません。

参考資料:
ウガンダ教育スポーツ省 https://www.education.go.ug

初等教育 – Primary school

初等教育は日本の小学校に相当し、Primary schoolと呼ばれています。
主に6歳の年齢の子どもたちが入学し、初等教育は義務教育期間とされています。

初等教育は1年生から7年生までの7年制ですが、各学年では学年末に進級試験が行われ、合格点以下の場合は進級をすることができません。

また、学年末の11月になると、最終学年の7年生を対象とした全国一斉の卒業試験(PLE: Primary Leaving Examination)が実施され、この試験の成績によって進学可能な中学校(Secondary school)が決定されます。

この卒業試験の結果は中学校の決定のみならず、新聞で全ての受験者の氏名や学校名、順位が発表され、上位20位ぐらいまでに入ると顔写真付きで受験者の喜びの声が伝えられるため、初等教育の卒業試験は、ウガンダの小学生にとって人生で初めて大きなプレッシャーを感じる時となるでしょう。

そのため小学校によっては、子どもたちが卒業試験で良い成績を修め、レベルの高い中学校に進むことができるよう、5年生や6年生になると全員が寄宿舎に入って朝早くから夜遅くまで勉強をするよう義務づけている学校もあります。

ウガンダでは、小学生が親元から離れて寄宿舎で生活することは決して珍しいことではありません。

また、この卒業試験は各小学校の教師たちにとっても成績の良い生徒を輩出している学校だとの評価を受ける機会にもなるため、土日や長期休暇を返上して子どもたちに授業を行うこともあります。

前期中等教育 – Secondary school (Oレベル)

前期中等教育は日本の中学校に相当しますが、義務教育期間ではないため政府からの資金援助はありません。

そのため、前期中等教育への就学率は2006年のデータで、都市部が38%、農村部が14%と、数値の高い都市部でも初等教育に比べると就学率が大きく下回り、教育費がいかに家計を圧迫する要因になっているかが確認できます。

前期中等教育は1年生(S1)から4年生(S4)までの4年制です。

最終学年の4年生になると、初等教育の時と同様に全国一斉の卒業試験(UCE: Uganda Certificate of Education )があり、これに合格すると後期中等教育へ進学が可能となります。
この試験に合格した際に付与される資格は、GCE O-Levelに相当します。

後期中等教育 – Secondary school (Aレベル)

後期中等教育は日本の高校に相当し、前期中等教育と後期中等教育は同じ学校に併設されているのが一般的です。

後期中等教育は5年生(S5)から6年生(S6)までの2年制です。
2年間の修業ののち、後期中等教育でも卒業の際は、全国一斉の卒業試験(UACE: Uganda Advanced Certificate of Education)が実施され、これに合格することで高等教育への進学が可能となります。
この試験に合格した際に付与される資格は、GCE A-Levelに相当します。

高等教育 – University

高等教育は日本の大学に相当し、学部などによって1年から5年の修業年限となっています。

2016年のデータによると、ウガンダの短大進学を含めた大学の進学率は、男性、女性合わせて4.76%と発表されています。
これに対し、日本の内閣府が2020年の調査で発表している短大進学を含めた日本の大学進学率は、男性で57.7%、女性で58.6%であることと比較すると、ウガンダの大学進学率は非常に低いことがわかります。

ウガンダには、ウガンダで最高レベルのマケレレ大学を始めとして、2023年現在で13の国立大学があります。
毎年これらの大学から多くの学生が卒業しますが、その後の卒業生を受け入れる就職先の数は非常に少なく、例えマケレレ大学に進学して高い知識を得たとしても、就職難で苦しむ学生が多いのが現状です。

そのため、ウガンダで就労している国民の自営業率は2020年の調査で76%となっており、学んだ知識や技術を活かして、それに関連した事業を自分たちで営もうする若者が数多くいることがわかります。

参考資料:
https://www.globalnote.jp
https://www.gender.go.jp
https://www.unhcr.org

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ウガンダの教育事情

日本では憲法第26条第2項で「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。 義務教育は、これを無償とする」と定められています。
そのため、日本の小学校の就学率は100%に近い数値となっています。

ウガンダでも初等教育は義務教育となり授業料は無償化されていますが、それでもウガンダには、7年間の初等教育を受けることが難しい子どもたちが数多くいます。

初等教育が義務化され授業料が無償化となっているにも関わらず、なぜウガンダでは初等教育を受けられない子どもたちがいるのでしょうか。

この理由には、やはりウガンダの経済事情と大きな関係があります。

ウガンダ政府が行っているUPE政策によって授業料は無償化されましたが、子どもたちが学校で学ぶために必要なお金は授業料だけではありません。
授業料に加え、給食費、教材費、文房具代、制服代など、学校に通うためにはたくさんの出費が必要となり、それらが家計を圧迫して、結果的にそういった費用負担が子どもを学校に通わせることを困難にさせています。

ウガンダでは家族に4人、5人と兄弟姉妹がいることも珍しくありません。
家族が多ければ、その家庭にとっての収入に対する出費は膨大なものなります。

そのため、こうした資金を継続的に負担することができなければ、せっかく初等教育を受けようと学校に入学しても、経済的な理由で学校を途中で辞めざるをえないケースが発生します。

このような状況から、初等教育に入学した後、7年生の卒業を無事に迎えることができた児童の割合は、2018年の発表のデータで51%と約半数にまで減少をしています。

特にウガンダの都市部と農村部を比べた場合、農村部での現金収入は都市部よりも圧倒的に少なく、ウガンダ社会の経済的な構造は学校の就学率を下げる要因を作りだしています。

こういった経済的な理由などもあり、学校での就学年齢はまちまちで、例えば6歳の時に学校に入学できなかった子どもでも8歳になったときに入学をしたり、また、一度学校を辞めた子でも再び学校に戻って勉強に励んだりすることもあるため、同じ学年の教室にはさまざまな年齢の子どもたちが机を並べて一緒に勉強をしています。

ウガンダの教育現場

子どもたちの人口増加に伴い、ウガンダでは校舎や先生の数の不足が問題視されています。

また、限られた財源の中で学校運営をする教育の現場では、十分な水準の給与が教師に支払われなかったり、その支払いがしばしば遅延したりしています。

そういった環境のなかで、増え続ける子どもたちの人数に見合う教師の人材確保は難しく、1つの教室で50-60人の児童が授業を受けるような学校もあります。

ウガンダでは、日本のように各児童が1人一冊の教科書を持って学習をするということはないため、ウガンダの授業は、教師が教科書の内容を黒板に書き、児童がそれを書き写して丸暗記をするというのが一般的なスタイルです。
このような授業の指導スタイルが繰り返されるばかりでは、児童たちの考える力を養うことが難しくなるため、教師の質についてはたびたび議論のテーマになったりしています。

ウガンダの初等教育では、政府の資金援助がある公立の学校以外に、政府の資金援助がない私立の学校も数多く存在します。
私立の学校の授業料は学校によってそれぞれ違いますが、公立の学校のおよそ10倍程度です。
それでも都市部に住む人たちには、公立の学校は教育の質が低く、貧困層の子どもたちが通う学校というイメージが強いため、ある程度収入がある家庭の親たちは少しでも質の高い教育を受けさせようと、子どもを私立の学校に通わせています。

まとめ : 子どもたちの未来のために

ウガンダでは、就学前教育の年齢から学校で文字の読み書きを教わったり、初等教育から進級試験や卒業試験が行われたりと、ウガンダは教育に関してとても熱心な国の一つであると言えるでしょう。

一方で、初等教育でも非常に厳しい進級試験を毎年受ける必要があるため、留年をすれば、その分、学校に支払う費用が余分にかかることになり、せっかく学校に通えたとしても卒業を迎えられずに十分な教育を受けられないまま大きく成長する結果になってしまいます。

初等教育の授業料無償化はウガンダの子どもたちの就学率を大きく上昇させましたが、一方で収入の乏しい家庭で育つ子どもたちのなかには、卒業まで学校に通うことが難しい子もいたりします。

私たち学習プリント.comでは、こうした現地の子どもたちの状況を理解し、少しでも学習の支援ができればと、現地の子どもたちに向けた学習支援活動を毎月無償で実施しています。
この学習支援活動は、学校に通っている、通っていないの区別なく参加できる自由参加型のイベントです。

これに参加した子どもたちは、ウガンダ在住の日本人スタッフとともに、ぬりえや数字の学習をしたり、日本の言葉の挨拶や日本文化を楽しく学んだりしています。

私たちは、ウガンダの子どもたちにも私たちが提供する学習プリントを利用してもらい、子どもたちの学習の手助けになるよう、無料学習プリントサイトとしての役割を今後も続けていければと思っています。

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