第38回 かたちの学習イベント(2023年9月14日 ワキソ地区アクライトシティ 開催)
2023年9月14日、第38回ウガンダ学習支援として、ワキソ地区アクライトシティで「かたちの学習と葉っぱアートカレンダー制作イベント」を開催しました。
8月18日に2学期が終了し、子供達は1か月間の長期休暇を過ごしています。
長期休暇になると両親の田舎に帰省をする子供達が増えますが、それでも今回は11名の子供達が久しぶりに開催されたイベントを楽しみに参加をしてくれました。
イベント開催前日に案内状を持って歩いている私の姿を見かけると、子供達は遠くからでも「せんせい~!」と私を呼んで駆け寄ってくれています。
「友達にも声を掛けるから、もっと案内状をちょうだい」などと言う子供もいたりして、子供達が自らイベントの宣伝をしてくれるため、そんなところからもイベントの開催を楽しみにしてくれている様子を知ることができます。
ウガンダでは、9月に入ったころから雨が降りやすい時季になり、イベント当日もどんよりとした曇り空が広がっていましたが、そんななか子供達は元気に会場に集まってくれました。
イベントオープニング
- イベント開始のあいさつ
- イベントの内容説明
- 講師自己紹介
- 日本語のあいさつを学ぼう
- 学校体験をしよう
子供達は前回のイベントの際に「もっと日本語を勉強したいので、教えてください」と話していたので、今回は日本語の挨拶を学習する時間を少し長めに取ることにしました。
挨拶ということで、今回は「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」「おやすみなさい」「ありがとうございました」の5つを学びます。
これらの挨拶の言葉は、今までの学習支援イベントでも何度か学習した言葉のため、丸暗記をしている子供達がほとんどです。
ただ、今回はもう少し掘り下げて「おはようございます」「おやすみなさい」「ありがとうございました」は、先生や目上の人に対して使う丁寧語のため、これらを友達に言う時は「おはよう」「おやすみ」「ありがとう」と省略して、もっとカジュアルに言うことができる旨を説明しました。
こうして挨拶の言葉を教えると、大きな子はノートにメモをとって日本語の挨拶を覚えようとするなど、とても熱心に話を聞いてくれていました。
挨拶の学習が終わると子供達は私に「次は先生にガンダ語(ウガンダ中心部で話される現地語)を教えてあげるね」などと言って、子供達自身が先生になって私に教えることを楽しみにしている様子でした。
メモを取りながら挨拶を覚えてくれてありがとう。次に私に会ったときは「おはよう」の挨拶で声を掛けてね
かたちの学習をしよう
- 丸、三角形、正方形などのかたちの名前を覚えよう
- 同じかたちの物を見つけ出して、かたちのフォルムを覚えていこう
〇準備するもの
- かたちの学習カード
- 「三角形」「正方形」などのかたちをした日用品
- 小学1年生算数プリント 「かたちあそび(色を塗りましょう)4」
かたちの名前を覚えよう
今回、子供達と一緒に学習する形は「丸」「三角形」「正方形」「長方形」「楕円形」「星形」の6つです。
これらはウガンダの幼稚園でも学習する一般的なかたちの種類で、子供達に馴染みのあるかたちです。
最初は、これら6つのかたちが描かれたそれぞれのカードを子供達に見てもらい、どのかたちがなんという名前かを答えてもらいます。
かたちの名前を確認した後は、さまざまなかたちをした日用品を子供達に見てもらい、それぞれの日用品がどのかたちをしているか答えていきます。
今回私が用意した日用品は下記のとおりです。
- 丸 - サッカーボール
- 三角形 - ハンガー
- 正方形 - プラスチック容器のフタ
- 長方形 - ティッシュボックス
- 楕円形 - お皿
- 星形 - お菓子の型抜き
日用品を一つずつ上に掲げて子供達に見てもらうと、子供達はすぐに「丸」「三角形」などと大きな声で答えてくれました。
正方形のプラスチック容器のフタを出した時には、正方形と長方形で混乱してしまう子もいたので、かたちの学習をした時のカードを並べて、どちらが正方形で、どちらが長方形かを再度確認し、かたちの名前を復習していきました。
同じ形を見つけて色を塗ろう
一通りかたちの名前を覚えたら、次は同じかたちを見つけて指定の色を塗っていくプリント学習をします。
今回用意したプリントには、イカや魚などの海の生き物が三角形や長方形を使って描かれています。
子供達にこの海の生き物のプリントを見せ、そのプリントに使われているかたちにはどんなかたちがあり、どんな指定の色で塗られているか確認をしていきます。
ルールの説明を聞いてやり方が分かった子供達は、プリントに色を塗るのを楽しみにして我先にとプリントを受け取って学習を始めていました。
海のないウガンダに住む子供達はイカをあまり知らないため、最初は「これはクラゲだ」と子供達同士で話をしていましたが「これは『Squid(イカ)』で、日本人は好んでこれを食べています」と伝えると、子供達は日本人がイカを食べていることに驚き「え~っ!」と言って目を見開きながら私を見ていました。
海にいる「イカ」はあまり知りませんが、ウガンダにはアフリカ最大の湖であるビクトリア湖があるため、子供達は魚については良く知っています。
ビクトリア湖には、1メートルを超えることもある巨大魚の「ナイルパーチ」や、素揚げやスープにして食べられることの多い「ティラピア」、煮干しにしてスープの出汁取りに使われる「Mukene(ムケネ)」と呼ばれる小魚などが生息しています。
ナイルパーチやティラピアはウガンダでも高級品のため貧困層の家庭の日常の食事で出されることは少ないですが、ムケネは他の魚に比べると値段が安く丸ごと食べれてカルシウム補給に適しているため、普段の食事によく使われています。
ムケネには魚独特の匂いがあるため「ムケネを使って料理をしているな」というのがすぐに分かります。
みんな同じかたちを見つけて上手に色を塗ることができたね。みんなの家にどんなかたちのものがあるか探してみると面白いよ
葉っぱアートカレンダーを作ろう
- さまざまなかたちの葉っぱを紙に貼って、絵を描く想像力を養おう
- ハサミや糊の使い方を学ぼう
〇準備するもの
- 9月カレンダー台紙
- 季節のぬりえ(秋)かんたん 秋の木の実
- 季節のぬりえ(秋)かんたん きのこ
- 季節のぬりえ(秋)かんたん もみじといちょう
- 葉っぱ
- ハサミ
- 糊
「今日はみんなで外で葉っぱを拾って、葉っぱのかたちを活かした『葉っぱアート』を楽しもう!」と思って準備を進めていましたが、実はこの日、かたちの学習をしている間に強い雨が降り、全員で外に出ていくことが困難になってしまいました。
そのため、もう一つカレンダー制作の材料として用意していた「秋のぬりえ」に色を塗って、カレンダー制作用のモチーフとして使用することにしました。
子供達はぬりえを楽しんでいましたが、事前に葉っぱアートで作ったライオンのカレンダーを見本で見せていたため、葉っぱが使えないことをとても残念そうにしていました。
ぬりえの中には「もみじといちょう」もあるため、その葉っぱを使いながらどんな絵が描けるか想像できるよう、スマホを使って「葉っぱアート」の写真を見せると、子供達の葉っぱアート熱が爆発し、「せんせい、雨が小雨になってきたから葉っぱを拾ってきていい?」と私に尋ねてきました。
私が許可をすると数人の子供達が喜んで外に出て他の子供達の分の葉っぱも拾ってきてくれ、無事に全員で葉っぱも組み合わせたカレンダーを作ることができました。
子供達からは「ちょうはどうやって葉っぱを組み合わせればいい?」「鳥はどうやるの?」「キリンを描きたいけど、どこに葉っぱを貼ればいい?」など、初めての葉っぱアートに大盛り上がりを見せてくれました。
私が作った葉っぱアートの見本だけではなく、スマホでも日本の子供達が作ったたくさんの葉っぱアート作品を見て、1人の女の子が「世界の子供達は葉っぱを使って絵を描くようなことも学んでいるの?」と私に質問したりして、今までに経験したことがない葉っぱアートに強い関心を示してくれていました。
ウガンダではあまり馴染みのない葉っぱアートですが、この女の子からの質問を受け、イベントに参加している子供達が「他の国の子供達がどんな学習をしているのか」について知れたことは、子供達の大きな収穫になってくれたのではないかと感じました。
まとめ
今回は、かたちの学習と葉っぱアートで彩ったカレンダー制作を行いました。
日本では秋になると紅葉があり、黄色や赤色に染まった葉っぱを使った葉っぱアートが幼稚園や小学校などで行われることでしょう。
ウガンダでも黄色や赤色になった葉っぱを見かけることは皆無ではありませんが、やはり葉っぱの色は緑一色という印象を強く持っています。
そのため、今回使った葉っぱも緑色だけでしたが、それでも子供達は葉っぱを組み合わせて動物などが作れるなんて想像もしたことがなかったため、見本を見せると「葉っぱでそんなことができるのか!」と、とても驚いた様子でした。
この驚きの反応は私の想像を超えており、葉っぱを拾ってからの子供達の取り組み姿勢は、ぬりえのモチーフを組み合わせていた時よりも遥かに楽しそうな様子をしており、葉っぱアートがいかに子供達にとってインパクトのある内容だったのかを知ることができました。
ウガンダの子供達は知らないが、日本ではよく行われているような学習はまだまだたくさんあるかと思います。
今後もいろいろな学習にウガンダの子供達と一緒に挑戦し、子供達の想像力や経験値を高めて、子供達が多様性のある考えが持てるようなお手伝いができたら嬉しく思います。
ウガンダ在住
学習支援スタッフ
2012年12月よりウガンダ在住。
ウガンダ人の夫と13歳違いの娘二人とともにウガンダで生活しています。
我が家の公用語は日本語。日本に10年以上住んだウガンダ人の夫も、ウガンダで生まれた次女も、家族4人で常に日本語で会話をしているため、私の英語力よりも次女の日本語力の方が上達中です。
ウガンダ学習支援では、学校に通っている子も、経済的に学校に通うことができない子も、平等に学びの機会が得られるよう、無料プリントサイトの強みを活かし、「ぬりえ」「数字の学習」「日本文化紹介」など、さまざまな学習のサポートを実施しています。
ウガンダの小学校は義務教育でありながらも、制服代、文具費、給食費などが払えずに学校に通うことができない子ども達が数多くいます。
こういった子ども達の将来のために、少しでも子ども達の学びに貢献できるよう、ウガンダでの学習支援を続けていきたいと思います。
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