第25回 個別授業 算数の学習(2023年3月14日~16日 ワキソ地区アクライトシティ 開催)
2023年3月14日から16日まで、第25回ウガンダ学習支援として、ワキソ地区アクライトシティで、経済的に学校に行くことが困難な子供2名に算数の個別学習指導を行いました。
今回、算数の個別学習指導に参加してくれたのは、下記の2名です。
〇パビンくん (12歳)
いつも明るい笑顔を見せてくれ、毎回の学習支援イベントでも人懐っこく私に話しかけてくれています。
パビンくんは12歳ですが、小学校1年生の時に学校に通った経験があるだけで、それ以降は経済的な事情で学校に通うことができていません。
ウガンダの公立小学校は1997年から無償化されていますが、増え続ける子供の人数に政府からの予算が追いついておらず、多くの公立小学校は昼食費を含めた授業料や、制服、ノート、エンピツ、トイレットペーパーなど、さまざまな費用の負担を子供たちの家庭に強いているため、小学校にも通うことが困難な子供たちが数多くいます。
このような背景から、パビンくんは学校に通うことが困難な状況で、数字も1から10まで数えるのがやっとの状態です。
〇マロウくん (5歳)
マロウくんはとてもおとなしい子で、学習支援イベントに参加しているときも、みんなでするゲームの輪に入ることが難しかったり、みんなで話をするときも声を出さずに一人で静かに座っているタイプの男の子です。
幼稚園に通ったことがないだけでなく、家庭でも数の数え方などを教えてもらったことがありません。
お父さんは日雇い労働でなんとか家族を養っている状況で、ぜひマロウくんに数の数え方を教えてあげてほしいとのことで、今回の個別学習指導に参加をしてくれました。
個別学習指導1日目 (3月14日)
各自の学習目標
- パビンくん
1から20までの数字の読み書き、数え方を覚える
- マロウくん
1から5までの数字を覚える
〇準備するもの
パビンくん
- 幼児用学習プリント 数字の表(1から100まで)よこのすうじでおぼえよう
- 小学生用学習プリント 10までの数、10より大きい数 書きましょう
- 幼児用学習プリント 昆虫のてんつなぎ-かんたん バッタのてんつなぎ
- 小学生用学習プリント かずのならびかた(順番を覚えよう)0から10(読み方なし)2
- 幼児用学習プリント 数える練習をしましょう アメ
マロウくん
- 幼児用学習プリント 数字のなぞり書き 数字のなぞりがき「1」「2」「3」「4」「5」
- 数字カード (1から5)
- 動物カード (1頭から5頭まで)
学習内容
- パビンくん
パビンくんの今日の目標は、1から20までの数字の読み書きができるようになることです。
パビンくんに数字の表を見せながら1から20までの数字を読んでもらったところ、つまずきながらも順番通りであれば数字を読むことができています。
しかし、まだしっかりとどの数字がどの読み方なのか理解をしていないため、単独で数字をみた場合は読むことが難しい様子です。
そのため、普段使い慣れていない10から1までの逆読みをしてもらうと、最初の10ですら読むのが難しく、一人ではほぼ読み進めることができない状態でした。
パビンくんは、数字を単独で見ても読めるようになることが課題となっています。
- マロウくん
マロウくんの今日の目標は1から5までの数字を覚えることです。
マロウくんは数字の1もまだ覚えていないので、1から5までの数字の読み書きを繰り返しました。
同じ反復練習を繰り返すと、マロウくんは「3」の数字だけは自ら答えることができるようになっていました。
ただ、これは覚えたというよりは一時的な記憶にとどまっていると思われるため、再度繰り返し覚えていく必要がありそうです。
2人とも、何度も同じことを繰り返して数字を覚えていこう
個別学習指導2日目 (3月15日)
各自の学習目標
パビンくん
- 1から20までの数字の読み書き、数え方を覚える
- 足し算のやり方を習得する
マロウくん
- 1から5までの数字を覚える
〇準備するもの
パビンくん
- 幼児用学習プリント 数字の表(1から100まで)よこのすうじでおぼえよう
- 小学生用学習プリント 10までの数、10より大きい数 書きましょう
- 小学生用学習プリント かずのならびかた(どちらが大きい・小さい)かんたん1
- 小学生用学習プリント 足し算のなぞり書き(イラストと答えあり)くるま1
- 小学生用学習プリント 足し算のなぞり書き(イラストぬりえ答えなし)くるま1
マロウくん
- 幼児用学習プリント 数字のなぞり書き 数字のなぞりがき「1」「2」「3」「4」「5」
- 数字カード (1から5)
学習内容
- パビンくん
今日の目標は、1から20までの数字を覚えることと、足し算の計算を覚えることです。
パビンくんは既に12歳なので、なんとか順番に数えなくても単独で数字を見ただけで、それがどの数字なのか分かるようになってもらいたいと、繰り返し数字の学習をしていますが、なかなか覚えるのが難しい様子です。
例えば「6」の数字を見て「5」の数字の次にある形の文字だと分かっても、それが「Six」という呼び名であるとはすぐには答えられません。
次に、数字の大小を比べるプリントにも挑戦してもらいました。
二つの数字を見て、どちらが大きい数字か、どちらが小さい数字かを答える問題です。
これについては間違いがいくつかあり、パビンくんに考え方を説明しましたが、実はこれはパビンくんが学校に行っていないために英語が理解できていないことが理由だったため、現地語を交えて説明をしたところ、間違いが少なくなりました。
最後に、パビンくんの将来のことを考えて足し算の学習をしました。
パビンくんは、足し算の式を見るのは今回が初めてです。
足し算の記号や等号も分かりません。
足し算のやり方を伝えるため、プリントの数字の上に描かれているくるまの絵を足して答えを求めるように伝えました。
しかし、今日はあまり時間もなくゆっくりと足し算について指導をすることができなかったので、明日再度足し算の指導を行う予定です。
- マロウくん
マロウくんは1日目に続いて、今日も1から5までの数字を覚える学習をしました。
まだマロウくんは数字をしっかりと覚えておらず、誰かの後に続いて数字を読むことしかできません。
とにかく毎日反復練習で、1から5までを読んでは書きの繰り返しで練習をしています。
ただ、数字を読んだ後に数字の記憶があれば、例えば「5はどれ?」と何枚かのカードを見せながら尋ねると、指さしで答えてくれたりします。
2人とも、数字を見ただけで数字が読めるようになるように頑張ろうね。パビンくんは足し算の練習を続けていくよ。
個別学習指導3日目 (3月16日)
各自の学習目標
パビンくん
- 足し算のやり方を習得する
マロウくん
- 1から5までの数字を覚える
〇準備するもの
パビンくん
- 幼児用学習プリント 数字の表(1から100まで)よこのすうじでおぼえよう
- 小学生用学習プリント 足し算のなぞり書き(イラストぬりえ答えなし)りんご2,3,4
- 小学生用学習プリント 足し算かんたん6
マロウくん
- 幼児用学習プリント 数字のなぞり書き 数字のなぞりがき「1」「2」「3」「4」「5」
- 数字カード (1から5)
学習内容
- パビンくん
今日は、2日目でしっかりと教えることができなかった足し算の学習からスタートです。
ホワイトボードを使いながら、+と=の記号の読み方と意味を伝え、足し算の練習をします。
ウガンダでは最初は数字のところに〇を書き、それを足しながら答えを求めるよう学校で教わるので、それと同じように計算するようパビンくんに伝えました。
パビンくんは1から10までを数えることはできるので、あとは正確に〇を書ければ答えを求めることができます。
ただ、パビンくんは数字を単独で見てもそれがどの数字か分からないため、足し算の計算をするときは、数字の表を手元に置いてもらい、表と見比べながら数を把握して〇を書いてもらいました。
それにより、足し算の式は解けるようになっていましたが、数字の表がない状態では計算ができないだろうと思われるため、パビンくんはやはりそれぞれの数字を読めるようになることが課題になっています。
- マロウくん
マロウくんは個別学習を開始してから、これまでの間でしっかりと数字を覚えたという状態にはなっていません。
そのため、引き続き1から5までの数字を覚えることに集中します。
1からひとつずつ数字を読んでは確認し、書く練習を続けます。
今日が学習指導の最終日なので、1つでも数字を覚えたという状態になってくれたら良かったなと思いますが、マロウくんにはそれは難しかったようです。
2人とも、自宅学習を続けないと学んだことを忘れてしまうかもしれないから、できれば家でも数字を読む練習をしてみてね。
まとめ
今回は、経済的に学校に行くことが困難な2人の子供達に算数の学習指導を行いました。
2人とも、毎日学習指導を開始する時刻の1時間以上前から集まってくれ、朝食を一緒に食べたり、休憩時間にアニメの動画を観たりして、学習以外の時間も共にしながらこの3日間を過ごしました。
学校に行っていないので、机に座ったり鉛筆で文字を書いたりすることに慣れていない2人ですが、嫌がらずに積極的に毎日通ってくれたことに感謝しています。
しっかりとした学習に到達するための期間としては、とても短い3日間ではありましたが、少しでも今回の学習が二人の今後に役立つものであってくれていたらと思います。
ウガンダ在住
学習支援スタッフ
2012年12月よりウガンダ在住。
ウガンダ人の夫と13歳違いの娘二人とともにウガンダで生活しています。
我が家の公用語は日本語。日本に10年以上住んだウガンダ人の夫も、ウガンダで生まれた次女も、家族4人で常に日本語で会話をしているため、私の英語力よりも次女の日本語力の方が上達中です。
ウガンダ学習支援では、学校に通っている子も、経済的に学校に通うことができない子も、平等に学びの機会が得られるよう、無料プリントサイトの強みを活かし、「ぬりえ」「数字の学習」「日本文化紹介」など、さまざまな学習のサポートを実施しています。
ウガンダの小学校は義務教育でありながらも、制服代、文具費、給食費などが払えずに学校に通うことができない子ども達が数多くいます。
こういった子ども達の将来のために、少しでも子ども達の学びに貢献できるよう、ウガンダでの学習支援を続けていきたいと思います。
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