第10回 個別授業 算数の学習(2022年11月21日~25日 カンパラ 開催)|学習プリント.com

第10回 個別授業 算数の学習(2022年11月21日~25日 カンパラ 開催)

第10回 個別授業 算数の学習(2022年11月21日~25日 カンパラ 開催)
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2022年11月21日から25日までの5日間、第10回学習支援として、首都カンパラで、経済的な理由などで学校に行くことが困難な児童二名に対して、算数の授業を行いました。

今回、算数の授業を受けたのは下記の二名です。


〇アキールくん(8歳)

ウガンダは、新型コロナウイルスが発生以降、2020年3月から2022年1月まで、世界最長の83週間もの間、学校が閉鎖されていました。
アキールくんは、新型コロナウイルスが発生する前の2020年3月までは幼稚園に通っていましたが、残念ながら経済的な理由などで、学校が再開された以降も、小学校に通うことができていません。
アキールくんは、学習プリント.comで開催しているイベントにいつも積極的に参加をして、学んだことを直ぐに吸収してくれる聡明な男の子です。


〇ジュニアくん(6歳)

ジュニアくんは一人のお姉さんと二人のお兄さん、一人の妹を持ち、兄弟の中で最も人懐っこい性格です。
お姉さんは既に成人しており、二人のお兄さんは小学校に通っています。
その点、ジュニアくんはまだ幼稚園の年齢であることから、経済的な側面を考慮して、ご両親はジュニアくんの幼稚園の通園を見送っています。
そのため、ジュニアくんはまだ一度も幼稚園に通った経験がなく、学校の勉強には不慣れです。
しかし、お兄さんたちの使い古したノートなどで少しずつアルファベットや数字の学習などを始めて、来年の小学校入学を楽しみにしています。

学習指導1日目

学習指導1日目

1. 1-10までの数字を覚えよう

〇準備するもの

  • 数字カード

最初は、1-10までの数字が書かれている数字カードでの学習です。
1-10までの数字については、既に2人とも習得済みのため、ランダムに数字カードを見せても、二人とも正確に数字を読むことができました。

2. 1-10までの数字を書く練習をしよう

〇準備するもの

  • 幼児用学習プリント 数字のなぞりがき(1-10)

次に、数字のなぞりがきプリントを使って数字を書く練習をします。
ジュニアくんは数字を書くことが少し苦手で、鏡文字になりがちなため、たくさん書く練習をして数字の向きを覚えます。
二人が数字を書く練習をしていると、突然ジュニアくんから「7は日本語でどう言うの」という質問があったため、「7は、ナナと言うよ」と教えると、アキールくんから「ナナは僕のお姉ちゃんの名前と同じだ!」と言って驚いていました。

その後も日本語での数字の読み方を聞かれ、「9(キュウ)」はアキールくんの名前に使われる「q」と同じ発音、「10(ジュウ)」はジュニアくんの名前の「Ju」と同じ発音だと言いながら、三人で談笑をしました。

3. 1-10までの数字を数える練習をしよう

〇準備するもの

  • 数字カード
  • 学習補助プリント おはじきやシールに使えるプリント
  • 幼児用学習プリント 数を覚えよう 数のぬりえ 「さかな」

最後に、1-10までの数を数える練習をします。
最初に使用した数字カードを二人に見せ、同じ数だけのおはじきを集めるゲームをしてみます。
例えば、7の数字カードを見たら、7枚のおはじきを集めて並べるようにするゲームです。

しかし、二人ともあまり丁寧に数えないでおはじきを集めているので、数が大きくなると、集める数を間違えるようになっていました。
そのため、二人に一枚ずつ丁寧に数を数えておはじきを集めるように促し、集めた後は、私を含めた三人で、正しくおはじきが集められているか、1枚ずつおはじきの数を数えて確認するようにしました。

ゲームの後は、数を数えるプリントを使って、ぬりえを行います。
しかし、学校に通った経験のないジュニアくんは、あまりプリントに取り組むことに慣れていないため、問題がなかなか理解できなかったので、一つずつ問題の意味を説明しながら、数のぬりえに挑戦をしてもらいました。

算数のプリント学習の様子1算数のプリント学習の様子2算数のプリント学習の様子3
サポーターママ講師バシャ 明美
学習支援スタッフ
バシャ 明美

1-10までの数は数えられるから、あとは二人とも間違いがないよう気を付けながら数える練習をしていこう。

学習指導2日目

学習指導2日目

1. 1-100までの数字を数えよう

〇準備するもの

  • 幼児用学習プリント 数字を覚えよう 1から100までのすうじ

1日目は1から10までの数を数えたり、書く練習をしたりしましたが、今日は二人から「10以上の数字も勉強したい」とのリクエストがあったため、「1から100までのすうじ」プリントを使用して、100までの数字を読むことに挑戦しました。
こちらは、100までの数字の表を見ながら読むだけだったため、二人とも難なく読めた様子でした。

2. 1-10までの数字を数える練習をしよう

〇準備するもの

  • 幼児用学習プリント 数を覚えよう 数のぬりえ 「ほし」
  • 幼児用学習プリント 数える練習をしましょう 「くるま」
  • 小学1年生用学習プリント 10までの数(数えて色をぬろう)ふつう 1~5(1)

次に、1日目の復習を兼ねて、さまざまなプリントを使って数を数える練習をします。

アキールくんはぬりえが大好きなため、数を数えながら色を塗っていくプリントには特に興味を示して取り組んでくれました。

しかし、ジュニアくんは、1日目に数字を書く練習をしたにも関わらず、数字の向きを忘れてしまったようで、数字を書いて答えるプリントを解くたびに、「7はどっち向き?」などと確認しながら問題を進めていました。

3. 量や高さを比べてみよう

〇準備するもの

  • 幼児用学習プリント 量を比べてみよう 量1
  • 幼児用学習プリント 高さを比べてみよう 高さ3

授業の最初に10以上の数を数える練習をしたため、最後は10以上の数が含まれる量比べのプリントを実施します。
ジュニアくんは、たくさんの数を数える際に、数を飛ばしたり同じ物を二回数えるなどの間違いが多いため、数えたものに印を付けながら数えるよう促しました。

また、量だけでなく、高さ比べのプリントも実施し、その他の比較の練習もしていきます。
高さ比べは、二人とも直ぐに答えを見つけて丸を付けてくれたりして、簡単に問題を解いてくれました。

算数のプリント学習の様子1算数のプリント学習の様子2算数のプリント学習の様子3
サポーターママ講師バシャ 明美
学習支援スタッフ
バシャ 明美

数を数える時は印を付けながら数えるなど、工夫をしてみよう。

学習指導3日目

学習指導3日目

1. 1-10までの数字を書く・数える練習をしよう

〇準備するもの

  • 小学1年生用学習プリント 10までの数(読みましょう・書きましょう)書きましょう
  • 小学1年生用学習プリント 10までの数(いくつあるかな)ぼくじょう

2日目の学習で、まだ数字を鏡文字で書いたり、数字を飛ばして数えたりしていたため、3日目の学習は数字を書く練習と数える練習からスタートです。
数字を書く練習をして、今日も数字の向きを覚えていきます。

2. 0から10までの数字の順番を覚えよう

〇準備するもの

  • 小学1年生用学習プリント かずのならびかた(順番を覚えよう)0から10(読み方なし)
  • 小学1年生用学習プリント かずのならびかた(順番を覚えよう)10から0(読み方なし)

次は、0から10までの数字の順番を覚えるために、数字の穴あきプリントを使って数字を埋めていきます。
ここでは、0から10までを順番に数える穴あきプリントと、10から0まで逆から数える穴あきプリントの二種類に挑戦です。
0から10までのプリントは二人とも問題なく解けますが、難関は10から0まで逆から数えるプリント問題。
アキールくんは、後ろの0から埋めて簡単に答えようとしていたので、「頑張って10から挑戦してみて。」と言って、問題を解いてもらうようにしました。

3. 数字の大きさを比較してみよう

〇準備するもの

  • 小学1年生用学習プリント かずのならびかた(どちらが大きい・小さい)かんたん
  • 小学1年生用学習プリント かずのならびかた(どちらが大きい・小さい)ふつう

最後は、数字の大きさを比較する問題に挑戦です。
こちらでは、二つの数字を比べてどちらが大きいか、小さいかを比較するプリントと、三つの数字を比べてどれが一番大きいか、どれが一番小さいかを答えるプリントを実施します。

まずは二つの数字の比較問題。
こちらは、ジュニアくんは「こっちが先に来る数字だからこっちが小さい」などと言いながら、自らプリントを進めてくれました。

次は三つの数字の比較問題。
この問題は、今までの中で教えるのに一番苦労した問題でした。
三つの数字も二つの数字と同じ考え方で進めてくれたら解けるかなと思っていましたが、並んだ数字の中で一番大きい、一番小さいという概念が二人には分からない様子。
「二つの数字のように、数を数えた時に、三つの数字の中で一番最初に出てくる数字が一番小さいよ」と伝えましたが、ジュニアくんはそれでもまだ理解に苦しむようでした。
そのため、「数字と同じ数の〇を書いて、〇の数が少ないものが一番小さいよ」と教え、ジュニアくんに自分で〇を書いてもらい、比較をする練習をしました。

算数のプリント学習の様子1算数のプリント学習の様子2算数のプリント学習の様子3
サポーターママ講師バシャ 明美
学習支援スタッフ
バシャ 明美

今日の数字の比較は難しかったかな。また一緒に頑張って比較の問題に挑戦してみようね。

1日目~3日目のまとめ

普段、遊びが中心の生活を送り、座学に慣れていない二人ですが、私が机などを準備していると手伝いを積極的にするなど、毎日、授業が始まるのをとても楽しみにしてくれていました。

当初、二人は、数字は数えることができたら充分という状態だったので、数える問題は難なくこなしていましたが、直感的に判断が難しいような比較の問題は少し難しかったようです。

また、書くことにも慣れていないため、3日間の授業では数字の向きもまだ完全には覚えきれずに、毎回「6はどっち向き?」などと確認してから書く状態が続いています。

残りの二日間で、数字の向きを覚えたり、足し算などの計算にも挑戦していきます。
二人の小学校入学への準備は、もう少し続きます。

学習指導4日目

学習指導4日目

1. 1-100までの数字を数える・書く練習をしよう

〇準備するもの

  • 小学1年生用学習プリント おおきいかず(数の並び方)むずかしい

2日目の学習指導の際に1から100までの数を数える練習をして以降、3日目、4日目の三回に渡り、朝一番に、紙を見ずに1から100まで数えることができるか練習をしました。
二人とも100までの数字を数えることは問題なくできているため、次は、100までの数字が書けるかに挑戦をしてもらいます。

二人に100までの数字を書く紙を渡すと、「こんなにたくさんの数字を書かないといけないのかぁ。」と言うような落胆の声が聞こえてきました。
本来、こちらのプリントは全ての空欄に数字を埋めるプリントではありませんが、100までの数字を書いたことがない二人には、他の子供たちが学校で行っている学習と同様に、100までの数字を書く練習をしてもらいました。
100までの数字を言うことができる二人ですが、こちらのプリントに全ての数字を埋めるのは、かなりの大苦戦を強いられていました。
言えるけど、書けない。

そして、普段学校に行っていない二人が100までの数字を根気よく書き続ける。
これには、二人とも相当参ってしまったようで、「もうプリントを途中で終わりたい」「家に帰りたい」などと弱音が聞こえてきました。
特に8歳のアキールくんの方が精神的に辛かったようで、「もしあなたが今、学校に通っていたとしても同じ勉強をすることになるよ。もう少しだから頑張ろう」と言って励ましながら進めていきました。

2. 足し算の練習をしよう(事前準備) - いくつといくつ(数えましょう)

〇準備するもの

  • 小学1年生用学習プリント いくつといくつ(数えましょう)

明日は学習指導最終日となり、足し算や引き算を学習する予定のため、二人に事前準備の学習として、動物を数えて数を答えるプリントを使って学習をします。

つい先ほどまで100までの数字を書くプリントに挑戦をして苦戦を強いられていたため、こちらの答える箇所が少ないプリントを見て、二人は大喜び。
問題の説明を聞いた後は、「こんなのは簡単だ~」と言いながら、二人はまるでゲームをするかのように楽しみながら問題を解いてくれました。

算数のプリント学習の様子1算数のプリント学習の様子2算数のプリント学習の様子3
サポーターママ講師バシャ 明美
学習支援スタッフ
バシャ 明美

100までの数字を書くのは本当に辛かったけど、最後まで諦めずに100まで頑張って書けたね。すごいね、感動したよ。私もとっても嬉しいよ。

学習指導5日目

学習指導5日目

1. 足し算の練習をしよう(事前準備) - いくつといくつ(分けましょう)

〇準備するもの

  • 小学1年生用学習プリント いくつといくつ(分けましょう)かんたん5と6
  • 小学1年生用学習プリント いくつといくつ(分けましょう)かんたん10

今日はいよいよ学習支援の最終日。
昨日に続いて、今日は足し算を学ぶ事前準備から始めます。

最初のプリントは、おはじきが赤と青に分かれていて、赤と青を合わせて5、6、10になるよう、数字が書かれていない方の青のおはじきの数を数えて答える勉強です。
「まずは例を見ます。おはじきは全部で5つです。赤が1つの時、青がいくつあると5つになるか、青のおはじきの数を数えてくださいね」と説明すると、二人とも青のおはじきを数えて直ぐに答えを数えてくれました。
「他の問題もこの例と同じように青のおはじきの数を数えて全部で5になるようにしてみてね」と伝え、他の6、10も同様に問題を解いてもらいました。

2. 足し算の練習をしよう(事前準備) - いくつといくつ(線で結ぼう)

〇準備するもの

  • 小学1年生用学習プリント いくつといくつ(線で結ぼう)5にしましょう
  • 小学1年生用学習プリント いくつといくつ(線で結ぼう)8にしましょう
  • 学習補助プリント おはじきやシールに使えるプリント

次は、5と8を作るために、片方の数字とどの数字を組み合わせると5あるいは8になるかを考える問題です。
先ほどのプリントで、おはじきを分けて合計を求める勉強をしましたが、次は絵がついていないので、自分で考えて答えを導き出す必要があります。
単に数えるだけならできる二人ですが、考える問題は大の苦手。
ここで活躍してくれたのが、1日目にも使用したおはじきのカードです。
「ここに、おはじきが5つあります。プリントの上には数字の1が書いてあるため、1を隣りに分けると残りはいくつありますか」と私が見本を見せると、二人は残りのおはじきを4まで数えてくれました。
「そうですね。残りは4なので、1と4を線で結んで5を作ります」とプリントの解答の仕方を伝えます。

次に自分たちで問題を解く番になると、二人は書いてある数字の通りにおはじきを分けることができません。
例えば、2と3を結んで5を作る問題の場合、2を最初に分けるように伝えても、おはじきを分ける作業ができずに全てのおはじきの数を数えてしまい、分ける場所が分からないといった具合です。
そのため、このプリントを解くための解説に、この日一番の時間を掛けて二人に説明をしました。
二人は、見た絵などを数えるだけなら簡単ですが、数字を分けて数えるのはかなり難しかったようです。

3. 足し算の練習をしよう(事前準備) - あわせていくつ(式も記入)

〇準備するもの

  • 小学1年生用学習プリント あわせていくつ(式も記入)

最終日には足し算の勉強まではしたいと思っていたため、時間が少し過ぎていましたが、最後の学習として、絵に描いてある鉛筆の本数を数字にして、式を作って答えを出すプリントを行いました。
こちらでは数字を数えるだけでなく、足し算の式の書き方なども勉強します。
このプリントは、二人が得意な見たものをそのまま数えて数字にするだけの問題のため、数字を分けて考える問題よりも簡単に解くことができた様子でした。

算数のプリント学習の様子1算数のプリント学習の様子2算数のプリント学習の様子3
サポーターママ講師バシャ 明美
学習支援スタッフ
バシャ 明美

分ける問題は難しかったかな。考えて解く問題に慣れたら、分ける問題も簡単になるよ。しっかり頭を使ってたくさん考える問題に挑戦していこう。

子供たちの感想文

学習支援個別授業の感想
学習支援個別授業の感想

下記のボタンから全てのイベント感想文をご覧いただけます。

子供たちから頂いた喜びの感想文

今回使用したプリント

まとめ

今回は、経済的な理由などで学校に通うことができていない二人に、5日間にわたって学習支援を行いました。

普段、机に向かって勉強することに慣れていない二人は、どうしても集中力がすぐに途切れてしまい、二人で遊びはじめたり、考える問題に苦戦したりと、特に4日目、5日目は少し苦痛の時間を過ごしたようでした。

1日1時間、5日間だけの学習支援でしたが、その間、ジュニアくんは書けなかった自分の名前が書けるようになったり、アキールくんは最終日には宿題もやりたいと言ってリクエストをしてくれるなど、それぞれの成長を見せてくれました。

学習支援最終日の翌日、アキールくんに会うと、「昨日は本当に大変な日だったよ。」と私に教えてくれましたが、渡した足し算の宿題もきちんとこなすなど、授業終了後も宿題に前向きに取り組んでくれていました。
今回は、予定していた引き算の練習や、3つの数字の足し算などは時間の都合上できませんでしたが、二人が来年小学校に行けるようであれば、今回学んだことを思い出しながら、他のお友達たちと一緒にする教室での勉強を楽しんでくれたらと思います。

ウガンダ在住
学習支援スタッフ

バシャ明美さんのプロフィール写真 バシャ 明美 2女のママ

2012年12月よりウガンダ在住。
ウガンダ人の夫と13歳違いの娘二人とともにウガンダで生活しています。
我が家の公用語は日本語。日本に10年以上住んだウガンダ人の夫も、ウガンダで生まれた次女も、家族4人で常に日本語で会話をしているため、私の英語力よりも次女の日本語力の方が上達中です。
ウガンダ学習支援では、学校に通っている子も、経済的に学校に通うことができない子も、平等に学びの機会が得られるよう、無料プリントサイトの強みを活かし、「ぬりえ」「数字の学習」「日本文化紹介」など、さまざまな学習のサポートを実施しています。
ウガンダの小学校は義務教育でありながらも、制服代、文具費、給食費などが払えずに学校に通うことができない子ども達が数多くいます。
こういった子ども達の将来のために、少しでも子ども達の学びに貢献できるよう、ウガンダでの学習支援を続けていきたいと思います。

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