第47回 七夕イベント(2024年7月20日 ワキソ地区アクライトシティ 開催)
今回は、9歳のサイラスくん、5歳のフローレンスちゃん、4歳のエディくんの3人が、初めてイベントに参加をしてくれ、合計11人で七夕についての学習をしました。
初めて参加してくれた3人の子ども達は、少し緊張した面持ちで他の子ども達の到着を待っていましたが、日頃から一緒に遊んでいる友達たちが会場に入ってくると、緊張が溶けたようにおしゃべりをしたり、会場を走り回ったりと、元気いっぱいな様子を見せてくれました。
今回の学習は、日本の行事の一つ「七夕」。
ウガンダの子ども達には馴染みのない日本の七夕の行事を、子ども達がどんな風に楽しんだのか、ぜひご覧ください。
イベントオープニング
- イベント開始のあいさつ
- イベントの内容説明
- 講師自己紹介
- 日本語のあいさつを学ぼう
- 学校体験をしよう
まずは、初めて参加する3人の子ども達とも一緒に、日本語の挨拶「おはようございます」の練習をします。
何度もイベントに参加している子ども達にとって馴染みのある「おはようございます」の挨拶ですが、初めて参加する子ども達には初めての日本語の言葉です。
そのため、ホワイトボードに「Ohayou Gozaimasu」と書いて、みんなで読む練習をしました。
「『Ohayou Gozaimasu』は、どんな意味ですか」と尋ねると、子ども達から「Good morning」と次々に声が上がります。
「そうですね。『Ohayou Gozaimasu』は、『Good morning』の意味ですね。サイラスくん、分かりましたか」と初めて参加した子ども達に教えていきました。
「Ohayou Gozaimasu」の文字を一文字ずつ丁寧に読み、その後に続けて読む練習をしていきます。
次に私の自己紹介をして「Akemi Senseiと呼んでね」と伝えました。
日本語の挨拶は難しいかもしれないけど、何度も練習したらすぐに覚えられるようになるから、これから練習していこうね
七夕ってなぁに?
- 日本文化の「七夕」について学ぼう
<準備するもの>
- 紙芝居用
- 七夕のぬりえ-むずかしい おりひめとひこぼし1(ぬり方参考例)
- 七夕のぬりえ-むずかしい おりひめとひこぼし4(ぬり方参考例)
- 七夕のぬりえ-むずかしい 七夕のぬりえ2(ぬり方参考例)
- 人形用
●七夕のぬりえ おりひめとひこぼし4(ぬり方参考例)
イベントの最初は、七夕を知らない子ども達のために、学習プリント.comで公開されている塗り絵参考例を使って、紙芝居をしながら「七夕」とはどんな行事なのかを説明しました。
1.七夕のぬりえ-むずかしい おりひめとひこぼし1(ぬり方参考例)
織物が得意な織姫と牛飼いの彦星がいました。
2人は結婚し仲良く暮らしていましたが、結婚すると怠け者になってしまい、仕事をせず周りの人に迷惑をかけてしまうようになりました。
そこで、怒った神様は2人を天の川を使って離れ離れにしてしまいました。
離れ離れにされてしまった2人は悲しくて仕方がありません。
そんな2人の悲しんだ様子をみた神様は、
2.七夕のぬりえ-むずかしい おりひめとひこぼし4(ぬり方参考例)
1年に1回だけ2人を会わせてあげることにしました。
それが 七夕 です。
3.七夕のぬりえ-むずかしい 七夕のぬりえ2(ぬり方参考例)
七夕では、7月7日に笹の葉に願い事を飾ると、織姫と彦星の力で願いが叶えられると言われています。
紙芝居や人形を使いながら七夕について説明すると、子ども達は食い入るように紙芝居を見てくれ、七夕とはどんな行事なのかを学んでくれていました。
七夕がどんな行事か分かったかな。今日は、七夕を楽しむために笹の飾りを作ったり、願い事を書いたりするよ
七夕のぬりえで遊ぼう
- 色彩感覚を養おう
- 紙を破って手先の神経の発達を促そう
- ぬりえで日本文化を学ぼう
<準備するもの>
- 七夕のぬりえ-かんたん 七夕のぬりえ2
- 七夕のぬりえ-かんたん おりひめとひこぼし3
- 七夕のぬりえ-かんたん 短冊(ぬり方参考例)
- 単色おりがみ
- のり
学習プリント.comでは、動物や乗り物などの折り紙の他に、46色の単色の折り紙も公開しています。
この46色という豊富な色の折り紙を使いながら、いつもはクレヨンでしている塗り絵を、今回は折り紙を小さく切って貼っていく「ちぎり絵」に見立てて色付けをしていきました。
ちぎり絵は、するのも見るのも、子ども達は初めての経験です。
そのため、あらかじめ私が作成したちぎり絵の見本を見せながら、「こんな風にいろいろな色の紙を小さく破って、のりで貼ってね」と伝えてやり方の説明をしました。
子ども達の中には、小さくちぎり過ぎる子もいれば、大きくちぎって一気に色をつけてしまおうとする子など、さまざまな子がいます。
私は、ちぎり絵の良い点の一つは、いろいろな色の折り紙の端が少し重なるように貼ることで、カラフルな立体感のある絵が完成するところではないかと思っています。
そのため、今回の見本でも単色で折り紙を貼ったところや、色を混ぜたところなど、変化をつけて見本を作成しましたが、子ども達は折り紙を貼ることに集中してしまい、塗り絵に色をつけるというよりは、紙に折り紙を貼るための作業になっていたようにも感じました。
それでも「先生、こんな風に貼れたから見てー」と声を掛けてくれ、初めてのちぎり絵を楽しんでくれている様子でした。
たくさんの色を使って塗り絵に折り紙を貼ることができたね。次にやるときは、塗り絵にある線にも意識して折り紙を貼っていこう
七夕飾りを作ろう
- 折り紙を切ったり、貼ったりしながら、創造力を養おう
- ハサミの使い方を学ぼう
- 七夕飾りを作って、七夕への理解を深めよう
<準備するもの>
- 折り紙
- ハサミ
- のり
七夕に欠かせないものの一つに、笹に飾る七夕飾りがあります。
今回は、ハサミを使わずに小さな子ども達でも簡単に作れる「四角つなぎ」や、難しそうに見えて簡単な「貝飾り」「ちょうちん」「吹き流し」などの見本を用意し、子ども達に作りたいものを選んでもらいました。
一番人気の「四角つなぎ」は、折り紙の角と角をのりで貼り合わせるだけのため、男の子たちは面白がって何枚も折り紙をつなげて遊んでいました。
大きなお姉ちゃん達は、貝飾り作りに挑戦しました。
折り紙の端を切り落とさないよう注意しながらハサミで切り込みを入れるように説明し、折り紙の角と角をのりで貼り合わせると、美しい貝飾りができあがり、お姉ちゃん達は、その見た目にとても喜んでいました。
子ども達がイベントに集まると必ず喧嘩が始まるため、今まではイベント中にハサミを使うことを躊躇していました。
しかし今回は、「ハサミで遊ぶと危険なので、絶対にハサミで遊んではダメだよ」と注意をしながらハサミを使う練習をすることにも挑戦し、ちょうちん作りをしていた子ども達も無事にケガ無く飾りを完成させることができました。
随分と長い四角つなぎが完成したね。綺麗な七夕の飾りを見て、きっと織姫や彦星も喜んでくれるよ
短冊にお願い事を書こう
- 文字を書く練習をしよう
- 文章力を養おう
- 七夕の理解を深めよう
最後に、織姫と彦星に叶えてもらう願い事を短冊に書きました。
「みんなのお願い事をこの短冊に書いてね」と伝えると、子ども達はどんな願い事を書こうかなと悩みながら、鉛筆を手に取っていました。
「妹が生まれますように」
「学校に行けるようになりますように」
「家族がみんなが健康で幸せでありますように」
それぞれの願いを短冊に込め、笹の葉に飾って、自分たちの願いが叶うことを祈りました。
短冊を笹の葉に飾って、みんなの願いが叶うよう織姫と彦星にお願いしておこうね
まとめ
今回は、七夕の塗り絵でちぎり絵を作ったり、七夕飾りや短冊を作ったりして日本文化を学びました。
ウガンダの公立の小学校の授業料は無償化されていますが、それ以外の昼食費、文房具費、制服代など、さまざまな費用は親が負担をする必要があります。
そういった費用を賄うことができない家庭では、どんなに学校の授業料が無償化されていても子ども達は学校に通うことができません。
子ども達の親御さんに会うと、「家にお金がなくて子どもを学校に行かせられない。どうしたらいいものか」と話をされることが多々あります。
そのため、「学校にいきたい」と短冊に書く子ども達の願いは、現実的には叶うのが難しい状況が続いています。
そんな子ども達のために、この学習支援イベントが少しでも子ども達の学びの一助になれるよう、さまざまな取り組みを今後も続けていけたらと思います。
ウガンダ在住
学習支援スタッフ
2012年12月よりウガンダ在住。
ウガンダ人の夫と13歳違いの娘二人とともにウガンダで生活しています。
我が家の公用語は日本語。日本に10年以上住んだウガンダ人の夫も、ウガンダで生まれた次女も、家族4人で常に日本語で会話をしているため、私の英語力よりも次女の日本語力の方が上達中です。
ウガンダ学習支援では、学校に通っている子も、経済的に学校に通うことができない子も、平等に学びの機会が得られるよう、無料プリントサイトの強みを活かし、「ぬりえ」「数字の学習」「日本文化紹介」など、さまざまな学習のサポートを実施しています。
ウガンダの小学校は義務教育でありながらも、制服代、文具費、給食費などが払えずに学校に通うことができない子ども達が数多くいます。
こういった子ども達の将来のために、少しでも子ども達の学びに貢献できるよう、ウガンダでの学習支援を続けていきたいと思います。
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