第43回 日本の節分イベント(2024年2月16日 ワキソ地区アクライトシティ 開催)
ウガンダでは、毎年2月16日は「Archbishop Janani Luwum Memorial Day(ジャナニ・ルウム大主教記念日)」で祝日です。
ジャナニ・ルウム大主教は、1974 年に大主教に任命され「ウガンダ・ブルンジ・ルワンダ ボガザイール教会」の第3代大主教を務めました。
ウガンダといえば、1970年代にイディ・アミン元大統領が軍事独裁政権を実施し、政治的な暴力により約30万人ものウガンダ人たちの命を奪った背景をご存じの方もいるでしょう。
ジャナニ・ルウム大主教は、そのイディ・アミン元大統領の政策に抗議し、それによってイディ・アミン元大統領の指示の下に1977年2月16日に命が犠牲になったことで有名です。
イディ・アミン元大統領が、不当な殺害を繰り返して人権侵害を犯したり、政治的弾圧を続けたりするなか、ジャナニ・ルウム大主教は毅然と抗議してイディ・アミン政権を批判した勇気は称賛されるべきであるとされ、イギリス国教会からも英雄として認められています。
そんなジャナニ・ルウム大主教の功績が称えられ、彼が亡くなった2月16日は、2016年から「Archbishop Janani Luwum Memorial Day」としてウガンダの祝日に制定されています。
2月16日は金曜日で3連休の初日ですが、今回は9人の子どもたちが集まってくれ、一緒にイベントを楽しみました。
イベントオープニング
- イベント開始のあいさつ
- イベントの内容説明
- 講師自己紹介
- 日本語のあいさつを学ぼう
- 学校体験をしよう
今回は2月の日本の文化を学ぶということで、2月の代表的な日本の行事である「節分」のイベントを開催しました。
1月にイベントを実施した際に、2月のカレンダー制作のための節分のぬりえを行い、その時に「節分」は豆を投げて鬼を退治して福を呼び込む行事であることを説明しています。1月に説明した「節分」の内容を今回も話しておさらいをし、再度「節分」がどんな行事だったかを子どもたちに思い出してもらうようにしました。
次に、子どもたちと日本語の挨拶の「おはようございます」の練習の後、今回は「元気ですか?」という言葉を学習しました。
海外ではおなじみですが、ウガンダでも挨拶の後に「How are you?」と、相手の状況を尋ねることが日常的にあるため、日本語に関心のあるウガンダ人たちから「『How are you?』は日本語でどう言うの?」と聞かれることが度々あります。
そのため今回は子どもたちと「元気ですか?」「元気です」と、質問と答えの両方を練習していきました。
日本では海外ほど「元気ですか?」と日常的に尋ねることは少ないけど、聞かれるとうれしい言葉なので、ぜひ覚えてね
節分の折り紙で遊ぼう
- 折り紙を通して日本文化を学ぼう
- 折り紙を折って手先の訓練をしよう
<準備するもの>
- 節分のおりがみ (赤鬼・青鬼・鬼のパンツ)
- のり
- はさみ
節分体験の一つ目として、節分の折り紙で遊びました。
現在、学習プリント.comでは節分をテーマに「赤鬼」「青鬼」「鬼のパンツ」「金棒」「恵方巻き」の5種類を公開しています。そのなかから、今回は「赤鬼」「青鬼」「鬼のパンツ」の3種類の折り紙に挑戦をしました。
まずは「赤鬼」の折り紙から折っていきます。
山折り、谷折りを駆使し、紙を前に折ったり後ろに折ったりしながら、鬼の髪の毛を折り、次に鬼の耳や輪郭を整えていきます。
子どもたちはまっすぐと線のとおりに折るのが苦手です。
そのため、斜めに折ったり、線があることは無視しながら適当な幅で折ったりしている子が多くいますが、それもまたそれぞれ違った表情の個性ある鬼ができあがり、すてきな作品に仕上がっていきます。
特に小さな子どもたちは、紙を折ることができたこと自体がとてもうれしい様子で、「こんな風に折れたよ」とかわいい表情をみせてくれます。
折り紙を折った後は、赤鬼に角を2本のり付けして完成させました。
基本的な折り方は「赤鬼」も「青鬼」も同じなので、大きい子には「さっきの赤鬼と同じように折ってね」と伝えながら「青鬼」も折り進めてもらい、その間に折り紙を折ることが難しい子どもたちの助けをしていきました。
次は「鬼のパンツ」に挑戦です。
「鬼は『トラの毛皮』でできたパンツを履いているんですよ」と説明をし、見本で折ったトラ柄のパンツを子どもたちに見てもらいました。
「鬼のパンツ」は真ん中にハサミで切り込みをいれて仕上げていきますが、子どもたちはイベント中でも友だちと喧嘩をすることがよくあるため、ハサミを渡すと凶器になる恐れがあるので、切り込みについては私が1人ずつの折り紙を切って仕上げていきました。
イベントで何度か折り紙に挑戦しているけど、紙を折るのには慣れてきたかな。まだまだいろんな折り紙があるから、また他の折り紙にも挑戦しようね
鬼退治をしよう
- 節分の鬼退治を体験しよう
- みんなで一つのことに挑戦して団結力を高めよう
<準備するもの>
- 鬼の顔のプリント(赤鬼・青鬼)
- ペットボトル
- 新聞紙で作ったボール
節分体験の二つ目として、鬼退治をしました。
日本では鬼役に扮した人にめがけて豆を投げて鬼を退治するなんて光景がよく見られますが、今回は、学習プリント.comの節分のぬりえ参考例の中の一枚を拡大して、鬼の顔のプリントを特別に準備し、それを二本繋げたペットボトルに貼り付け、丸めた新聞紙を投げて鬼を倒す方法で鬼退治を体験しました。
イベントには2-3歳の子どもから中学生ぐらいの子どもまで、幅広い年齢層の子どもたちが参加しています。
そのため、小さい子どもたち用の小さなペットボトルと、大きな子どもたち用の大きなペットボトルの二種類を準備しました。
ペットボトルの中には水を入れながら、難易度を調整します。
まず一回戦は小学生未満の子どもたち3人です。
ペットボトルには触らず新聞紙のボールのみで倒すことを伝え、鬼退治がスタート!
ペットボトルに約200mlの水を入れて挑戦しましたが、しっかりとボールを鬼の顔に当てて瞬時に鬼を倒していきました。
二回戦は小学生以上の女の子チーム3人です。
大きなペットボトルを使い、中には約400mlの水が入っています。
「Ready Steady Go!」の掛け声で鬼退治をスタートさせると、女の子チームの子どもたちはコントロール良くボールを鬼の顔に当てて鬼を倒してくれました。
三回戦は小学生以上の男の子チーム3人です。
力の強い男の子たちには、約600mlの水を入れて鬼退治に挑戦してもらいましたが、こちらも数分で鬼が倒れ、子どもたちの歓喜が聞かれました。
思った以上に子どもたちのボールのコントロールが良く、男の子たちのボールを投げる力が強いことが分かったので、最後は約1Lの水を入れて全員参加の鬼退治を実施しました。
さすがに約1Lの水が入ったペットボトルを倒すのには時間が少しかかり、子どもたちの鬼を倒す勢いがヒートアップしながらの鬼退治になりましたが、最後は男の子の力強い一撃が功を奏し、無事に鬼を倒すことができました。
みんな無事に鬼退治ができたね。鬼を倒すと次はみんなのところに幸せがやってくるよ。みんなでケガや病気のない1年を過ごそうね
3月のカレンダーを作ろう
- 塗り絵を通して運筆の練習をしよう
- 塗り絵で色彩感覚を養おう
- カレンダーを作ってイベント参加の思い出にしよう
<準備するもの>
- 「お子さんのぬりえやイラストで2024年3月のオリジナルカレンダーを無料で作ろう」企画対象塗り絵(かんたん・ふつう・むずかしい)
- クレヨン
イベントの最後は、3月のカレンダー制作のために「ひなまつり」の塗り絵で遊びました。
今回は「ひなまつり」の塗り絵を行うため、会場に本物のひな人形を飾り、子どもたちに日本では3月3日にひな人形を飾って女の子の成長を祝う「ひなまつり」の行事があることを説明しました。
会場に飾ってあるひな人形と塗り絵に描かれたひな人形が同じものであることを確認しながら、子どもたちは本物のひな人形と見比べて塗り絵の色を塗り進めていきます。
塗り絵を塗り終わった後はカレンダー用の写真をひな人形と一緒に撮り、今回のイベントの思い出にしました。
日本のひなまつりのイメージをつけることはできたかな。またいろいろな日本の行事を体験していこうね
まとめ
今回は節分イベントとして「鬼退治」などをして、子どもたちと一緒に日本の行事を学びました。
子どもたちが体を動かして遊ぶ内容のイベントは、子どもたちの笑顔が見られ、私もとても楽しい気持ちになります。
体を動かしながら学ぶ日本の行事は、子どもたちの記憶にも残りやすいかもしれませんね。
節分のように各季節の節目ごとにさまざまな日本の行事がありますが、これからも体験型のイベントを行い、ウガンダの子どもたちに遠い日本の行事に触れてもらえたらと思います。
ウガンダ在住
学習支援スタッフ
2012年12月よりウガンダ在住。
ウガンダ人の夫と13歳違いの娘二人とともにウガンダで生活しています。
我が家の公用語は日本語。日本に10年以上住んだウガンダ人の夫も、ウガンダで生まれた次女も、家族4人で常に日本語で会話をしているため、私の英語力よりも次女の日本語力の方が上達中です。
ウガンダ学習支援では、学校に通っている子も、経済的に学校に通うことができない子も、平等に学びの機会が得られるよう、無料プリントサイトの強みを活かし、「ぬりえ」「数字の学習」「日本文化紹介」など、さまざまな学習のサポートを実施しています。
ウガンダの小学校は義務教育でありながらも、制服代、文具費、給食費などが払えずに学校に通うことができない子ども達が数多くいます。
こういった子ども達の将来のために、少しでも子ども達の学びに貢献できるよう、ウガンダでの学習支援を続けていきたいと思います。
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