第32回 基礎学力の向上(2023年5月19日 ワキソ地区アクライトシティ 開催)|学習プリント.com

第32回 基礎学力の向上(2023年5月19日 ワキソ地区アクライトシティ 開催)

第32回 基礎学力の向上(2023年5月19日 ワキソ地区アクライトシティ 開催)
公開日:
Twitterでシェア Facebookでシェア LINEでシェア

5月から子供たちが長期休暇に入り、今回の長期休暇中では2回目のイベント開催です。

ウガンダでは、大きなお兄ちゃんやお姉ちゃんが下の弟や妹の世話をするのが当たり前のようになっているため、今日はお兄ちゃん達と一緒に小さな子供も二人参加をしてくれ、イベントを盛り上げるお手伝いをしてくれました。

イベントに参加してくれている子供たちの多くは男の子で、しかも毎日のように一緒に遊んでいる近所の仲間達のため、イベント中は気心の知れた友達たちと一緒に大声で会話を楽しみながら過ごしています。

そんな子供達との今回は、以前同じような内容のイベントを開催したけど難しくてあまりうまく進めることができなかった「基礎学力向上イベント」のリベンジです。

私も前回の反省を活かして、今回は内容を一新しての挑戦となりました。

イベントオープニング

イベントオープニング
  • イベント開始のあいさつ
  • イベントの内容説明
  • 講師自己紹介
  • 日本語のあいさつを学ぼう
  • 学校体験をしよう

今日は10人の子供達とイベントをスタート。

今回は「基礎学力向上イベント」ということで、みんなの脳を鍛えていくイベントを予定していることを子供たちに伝えました。

次は全員で日本語の挨拶の練習です。
今日は「おはようございます」「こんにちは」「ありがとうございました」の3つの挨拶の練習をしました。
子供達はいつもイベントに来ると「おはようございます」と元気に挨拶をしてくれていて、「おはようございます」は、すっかり慣れた言葉になりつつあります。
しかし、長期休暇中の期間ではないと参加が難しい子供達はあまり日本語の挨拶に慣れていないので、日本語の挨拶に慣れている子供達の真似をしながら一生懸命練習をしてくれました。

サポーターママ講師バシャ明美さん
学習支援スタッフ
バシャ明美さん

『こんにちは』の練習は久しぶりだったね。みんな何度も練習をして覚えていこうね

指示ゲームを通じて上下左右を覚えよう

指示ゲームを通じて上下左右を覚えよう
  • 上下左右の方向を学んで理解する
  • 指示を聞いてその通りに行動ができるようになる
  • 指示された場所がどこなのか判断する力を養う

〇準備するもの

  • 家の絵が描かれた土台となる用紙 (A4サイズ16枚分を繋ぎ合わせたもの)
  • 家の土台の用紙に貼っていく各部屋のオブジェクトのプリント

「基礎学力向上イベント」の最初は、土台となる大きな家の絵に、私が指示する通りにオブジェクトを貼り付けて各部屋に置物を設置していく「指示ゲーム」を実施しました。
前回指示ゲームを行ったときは、決まったマス目の中に動物などの絵を貼っていくスタイルでしたが、今回はマス目なしのフリースペースに絵を貼っていきます。
マス目がなくてもきちんと指示を聞きながら、上下左右の指定場所にオブジェクトを貼っていけるかに挑戦です。

先ずはホワイトボードを使いながら、みんなで上下左右がどの方向にあるか確認します。
上下の場所は簡単ですが、左右は混乱しやすいので、全員に右手をあげてもらってからホワイトボードの右、そして反対の左の場所を確認していきます。

こうして、上下左右の場所が確認できたら、次に家の中に貼るオブジェクトは何があるか一つずつ確認していきました。
今回用意した家の絵には6つの部屋があります。
それぞれの部屋は壁の色が違っていて、

  • 黄色のリビングルーム(※ウガンダではシッティングルームと呼ばれます)
  • 緑色の寝室
  • ピンク色の子供の勉強部屋
  • 水色のシャワールーム
  • クリーム色のダイニングルーム
  • オレンジ色の台所

といった具合に部屋が分かれています。

それぞれの部屋に貼っていくオブジェクトは、リビングルームにはソファやテレビ、寝室にはベッドやタンスなど、その部屋に合ったオブジェクトを用意しました。

イベントに参加している子供達が普段住んでいる家は平屋で、部屋数も2つか3つ、台所やトイレ、シャワースペースは家の外に設置してある場合がほとんどです。
台所、トイレ、シャワースペースが外にあると言っても、たいていは仕切られた空間があるだけのもので、台所には水を出すための蛇口などはなく、単に炭で調理をするためのスペースがあるだけ、シャワーのスペースもポリタンクなどに水を入れて持ち込み、タライを使って体を洗うスタイルです。
かろうじて電気が通っている家でも、水道がある家は少ない状態で、近所から水を購入しポリタンクにためて水を確保しながら生活しています。
そして、狭い家の中では、両親、兄弟姉妹、祖父母などと一緒に睡眠をし、物を置くスペースもあまりないため、今回イベントのために用意したオブジェクトと同じものが家にある子供は少ないかと思います。
そのため、子供達が知らないものもあったりするので、30アイテム用意したオブジェクトの全てを全員で一つずつ名前を確認して、指示ゲームがスムーズに進むようにしていきました。

オブジェクトの名前を確認したら、全員に3つずつぐらいいきわたるようにオブジェクトを配布して、指示ゲームのスタートです。
指示ゲームは子供達の混乱が少ないよう、一つの部屋ごとにオブジェクトを貼って完成させていきながら進めました。

まずはリビングルームからスタート。
「リビングルームの左下にソファがあります。ソファの絵を持っている子は前に出てリビングルームの左下の場所に貼ってください」という流れで進めます。
指示ゲームをスタートさせる前に上下左右を確認しましたが、きちんと上下左右を理解している子もいれば、友達の力を借りないと場所が分からない子もいるので、みんなで協力しながら私が指示した場所にオブジェクトを貼っていきました。

ときどと友達が間違えて貼ろうとすると、みんなで「そこは違う、反対側だ」などと教えてもらい、家の中の各部屋にオブジェクトを貼っていき、無事に家の中に全てのオブジェクトが設置されました。

上下左右の学習をする子供たち 上下左右の学習をする子供たち 上下左右の学習をする子供たち 上下左右の学習をする子供たち 上下左右の学習をする子供たち 上下左右の学習をする子供たち
サポーターママ講師バシャ明美さん
学習支援スタッフ
バシャ明美さん

みんなが協力してくれたおかげで立派な家が完成したね。上下左右の場所をしっかり覚えておくんだよ

マス描写のぬりえで考える力を高めよう

マス描写のぬりえで考える力を高めよう
  • マス描写のぬりえで空間認知力を養おう
  • マス描写のぬりえを通して集中力を養おう
  • マス描写のぬりえを通して図形の感覚を身に着けよう
  • マス描写のぬりえを塗ることで、色彩感覚を養おう

〇準備するもの

  • マス描写のぬりえ スイカ、バス (かんたん、ふつう、むずかしい)
  • クレヨン

次に行ったのは、マスに区切られた場所の中にマス目を使いながら描かれた絵を見ながら、隣りの空欄のマスの全く同じ場所に同じ色を塗って絵を完成させていくプリントを実施しました。

実は、このマス描写のぬりえは前回の「基礎学力向上イベント」でも行いましたが、マス目が多く絵が難しかったためか、同じ絵を写して描くことができない子が続出してしまい、あまりうまく進めることができませんでした。
そのため、今回は前回よりもマス目の数を少なくして、絵も簡単なもので2種類用意をしました。
今回用意した絵は、64マスの中に描かれた「スイカ」の絵と、81マスの中に描かれた「バス」の絵です。
前回は208マスを使った「チューリップ」の絵だったので、前回よりはかなり絵を単純化したもので用意をしました。

用意したマス描写のぬりえは

  • 「かんたん」は写す側の指定の場所に指定の色で・が書いてあるもの
  • 「ふつう」は写す側の指定の場所に黒い・が書いているもの
  • 「むずかしい」は写す側の指定の場所に・はなく空欄になっているもの

といった具合に、一つの絵に3段階の難しさがあります。

前回、このマス描写のぬりえ大苦戦したため、マス描写という作業そのものが子供達に難しいのか、あるいは単純に前回の絵が難しかっただけなのか心配をしましたが、今回は写す側に・が書かれていない「むずかしい」のぬりえでも、きちんとマス目の数を数えながら同じ場所に同じ色を塗ることができていた子が多かったので、絵が単純であれば、子供達がきちんとマス描写の塗り絵を完成させることができるということを証明してくれました。

これであれば、次回はもう少しだけレベルアップしたマス描写のぬりえを用意したものでも大丈夫そうだなと感じることができ、私も一安心しました。

マス描写のぬりえをする子供たち1 マス描写のぬりえをする子供たち2 マス描写のぬりえをする子供たち3
マス描写のぬりえをする子供たち1 マス描写のぬりえをする子供たち2 マス描写のぬりえをする子供たち3
サポーターママ講師バシャ明美さん
学習支援スタッフ
バシャ明美さん

みんな前回はほとんどできなかったマス描写のぬりえだったけど、今回は上手にできたね。頑張って絵を写してくれてありがとう



子供たちのマス描写のぬりえ一覧 参加された子供たちとの集合写真

まとめ

今回は、脳を鍛える「基礎学力向上イベント」を実施しました。

ウガンダでは、学校で教科書が配られるようなことはなく、先生が持っている教科書をそのまま先生が板書し、それを子供達がノートに書き写して丸暗記をする授業スタイルのため、マス描写ぬりえのように考えながら指定の場所に色を塗っていくプリントは難しいのかと心配をしていましたが、今回は絵を単純化したことで子供達がきちんと同じ絵を完成させることができた様子が見られ、子供達をとても誇らしく感じました。

前回、マス描写ぬりえをしたときは、誰もマスの数を数えながら同じ場所に色を塗ろうとした子はいませんでしたが、今回は子供達がしっかりと数を数えながら指定の場所を探して同じ色を塗っている様子を見た時は、前回の私の心配を覆し、子供達がそれをできることを証明してくれ、私自身とても感動させられたイベントとなりました。

何事も段階を踏むことが大切ですね。
今回のマス描写ぬりえの成功をきっかけに、今後も今回のような子供達の脳を鍛えていくようなイベントを適宜開催し、学校での勉強にいかしてもらえたらうれしいなと思います。

ウガンダ在住
学習支援スタッフ

バシャ明美さんのプロフィール写真 バシャ明美さん 2女のママ

2012年12月からウガンダに住み、ウガンダ人の夫と13歳違いの娘二人とともにウガンダ生活を楽しんでいます。
次女はウガンダで生まれましたが、小さい時から日本語で育ててきたため、私との会話を日本語でしています。
これからも次女に日本語の読み書きなどを教え、日本で生活しても問題ないようなレベルになってくれたらと日々奮闘中です。
経済的に学校に通うことが困難な子ども達にも学習機会が持てるよう学習支援活動をしてまいりますので、毎回のレポートを楽しみにしていただけたら嬉しいです。

この記事が気に入ったらシェア

Twitterでシェア Facebookでシェア LINEでシェア
ページトップへレッドレンジャー