第17回 かたちの学習イベント(2023年1月11日 ワキソ地区アクライトシティ 開催)
2023年1月11日、第17回ウガンダ学習支援として、ワキソ地区アクライトシティで「かたちイベント」を開催しました。
開催の前日、子供たちにイベントの知らせをしに行くと、家の周りで遊んでいた子供たちが私を見つけ「Teacher(先生)」と、あちこちから私を呼んでいる声が聞こえてきました。
「明日またイベントやるよ。かたちの勉強するから来てね」と言うと、子供たちから大きな声で「Yes!」と言う返事が聞こえ、子供たちの嬉しそうな声に私も思わず笑みがこぼれました。
イベントでは楽しみにしてくれている子供たちの期待に応えたいと、私もイベント開催の数日前から準備をし、イベントの当日を迎えました。
目次
イベントオープニング
- イベント開始のあいさつ
- イベントの内容説明
- 講師自己紹介
- 日本語のあいさつを学ぼう
- 学校体験をしよう
「今日は『かたち』の勉強をしますよ。みんな、丸とか三角などいろいろな形は知っていますか?」と尋ねると、子供たちから「Yes!」の元気な声が返ってきます。
「では、私の名前は覚えていますか」と尋ねると、「Akemi Sensei」と数人の子供たちから答えが返ってきて、私の名前を呼んでくれます。
初めて参加する子供たちも数人いるので、私の名前と、最近子供たちに覚えてもらっている「Ohayou Gozaimasu(おはようございます)」の日本語の挨拶をホワイトボードに書き、全員で復唱して練習をしました。
「おはようございます」は少しずつ子供たちが覚えてきたので、子供たちに「他の日本語も覚えたいですか」と尋ねると、みんな一斉に「Yes!」と答えてくれたので、次回のイベントでは、また別の日本語を教えてあげたいなと思います。
次はどの日本語がいいかな。少しずつ日本語も覚えて、日本のことも知っていこうね。
かたちを覚えよう
- さまざまなかたちを覚えよう
- それぞれのかたちの名前を学ぼう
- 普段使っているものがどんなかたちを持っているか確認しよう
〇準備するもの
- かたちの学習カード (正方形、長方形、丸、楕円形、三角形、星型)
- いろいろなかたちの日用品
・正方形 - プラスチックケース
・長方形 - ティッシュボックス
・丸 - アイスクリームの丸い容器
・楕円形 - お皿
・三角形 - ハンガー
・星型 - クッキー型
かたちの学習カードを使って形の名前を覚えよう
まずは、「かたちの学習カード」を使って形の名前を確認していきます。
カードには形の絵だけではなく、それぞれの形の名前も書かれており、子供たちにひとつずつ名前を尋ねると、みんな大きな声で形の名前を答えてくれました。
日用品に隠れた形を見つけよう
次に、あらかじめ用意したさまざまな形を持つ日用品を子供たちに見てもらい、それぞれの日用品がどんな形を持っているか子供たちに答えてもらいます。
「これはどんな形をしていますか」と言いながら子供たちに尋ねると、ティッシュボックスは長方形、ハンガーは三角形など、それぞれが持つ形を答えてくれました。
そのあと、最初に見せた「かたちの学習カード」も子供たちに見てもらい、答えてくれた形がカードの中のどの形と同じか、カードの中から同じ形のカードを選んでもらい、形の確認をしていきます。
少し大きな子でも三角形を長方形と間違って認識するなどがあったため、もう一度みんなで形の確認をし、最後に子供たちに「日用品の中にはさまざまな形が隠れているので家でも探してみてね」と伝え、日用品の形の確認を終えました。
おうちの中にもいろいろな形がたくさんあるから、家でも探してみてね。
プリントを使ってなかまのかたちを学ぼう
- 似ているかたちを探そう
- 同じかたちを見つけて色を塗ろう
- 色塗りをして運筆の練習をしよう
〇準備するもの
- 小学1年生用-かたちあそび、講座1 かたちあそび(なかまの形)
- 小学1年生用-かたちあそび、講座2 かたちあそび(色を塗りましょう)
※改変プリントを使用 - クレヨン
同じ形を探そう
日用品の形を確認したら、次はプリントを使って「なかまのかたち」を探していきます。
1問目は、問題に書いてある形(今回は立方体)と同じ形を、下の缶詰、ティッシュボックス、茶筒、サイコロ、ボールの中から選ぶ問題を解きます。
2問目は、ボール、ミルク缶、缶詰、ギフトボックスがそれぞれどの形と同じか線で結んでいく問題を解いていきます。
問題のやり方を説明し、やり方を理解したことを確認してから子供たちにプリントに取り組んでもらいました。
答え合わせをするときには、みんなに答えを言ってもらいながら正解を確認し、最後に子供たちにプリントを上にあげてもらい、全員がきちんとプリントが解けたことを確認しました。
形を使って描かれた塗り絵に色を塗ろう
次に、丸や正方形、三角形などを組み合わせて描かれた塗り絵を塗っていくプリントをします。
子供たちは塗り絵が大好きなため「次はこのプリントをやりますよ」と言ってプリントを見せると、子供たちから一斉に「Yeah(イエーイ)!」という歓声があがりました。
プリントには、形を組み合わせて家や太陽、電車などいろいろな絵が書かれています。
電車は子供たちに馴染みがなかったようで、電車の絵を見せながら何の絵かを尋ねたときに子供たちは「トラック」と答えていました。
ウガンダには、カンパラの街中で荷物を運ぶ貨物列車などはごくたまに走っているのを見かけることがありますが、人が乗るような電車は今は走っておらず、この地域には線路もないため、子供たちは「一度も電車を見たことがないので電車は知らない」と話をしてくれました。
それぞれの形には塗る色が決まっており、例えば三角は緑色、長方形は青色などと指定された色を塗るようになっています。
子供たちに見本と同じ色を塗るように説明をし、各自プリントに取り組んでもらいました。
小さな子たちは、そのルールは気にせず思い思いの色を塗るなどしていましたが、中には、見本の色を上から塗りつぶして、例えば青色に指定された長方形の上に紫色を塗り、自分が塗らないといけない長方形も紫色で塗るなど、ユニークな取り組みをしてくれた子もいて私を感心させてくれました。
色を塗り終わった後は、みんなで解答を見ながら同じ色になっているかを確認して、答え合わせをしていきました。
指定された色にちゃんと塗れたかな? みんな色塗りが大好きだね。
いろいろなかたちを使って貼り絵をして遊ぼう
- いろいろかたちを使ってどんな絵ができるか想像してみよう
- 色塗りをして運筆の練習をしよう
- 糊で紙を貼りながら、指先の感覚を養おう
〇準備するもの
- 各かたちに切り取った色なしプリント(正方形、長方形、丸、楕円形、三角形、星型)
※大、中、小の大きさのかたちプリントを準備 - A4のコピー用紙
- クレヨン
- スティックのり
- 貼り絵見本
形を使って描かれた家や電車の色塗りをした後は、子供たちにも同じようにさまざまな形を使って描く貼り絵をしてもらいます。
あらかじめ丸や星などの形ごとに切り取った大小の紙をみんなに見てもらい、「さっき色を塗ったプリントと同じように、みんなもそれぞれの形に色を塗って紙に貼り付け、何か物の絵を作ってみてね」と伝えました。
そして、もう一つ見本として、子供たちがすることと同じように形の紙を貼り付けて作った貼り絵を子供たちに見てもらうと、子供たちから「Wow(ワオー)」という感嘆の声があがり、驚いた表情を見せてくれました。
三角形と長方形を組み合わせた「木」、丸と楕円形を組み合わせた「熊」などが描かれた見本の絵を見ると、子供たちが何をしないといけないかの理解が深まったようで、子供たちの想像が膨らんでいく様子が伝わりました。
子供たちに好きな形を選んで取ってもらい、色塗りをしてからA4の用紙に糊で貼り、自由に形で描く貼り絵をしてもらいました。
途中、「もっと三角形が欲しい」「大きな正方形はないかな」などと言いながら、子供たち同士で形の紙を分け合い貼り絵を進めるなど、なんでもシェアをする気持ちを持つウガンダの子供たちらしい様子が伺えました。
見本と同じように紙を貼っていきたい子や、星を散りばめて夜空を描いてくれる子など、子供たちそれぞれが思い思いの貼り絵を完成させてくれました。
みんないろいろな形を使って素敵な貼り絵が完成したね。さまざまな形を使いながら絵が描けるって面白いね。
参加した子供たちの感想文
※感想文の一部を掲載しております。
下記のボタンから全ての感想文をご覧いただけます。
今回使用したプリント
学習プリント.comに掲載されているプリント
まとめ
今回は、形を認識したり、塗り絵したりしながら形について学んでいきました。
プリントが完成するたびに子供たちが「これ終わったよ。見て」と言いながら何人もの子供たちが私に自分のプリントの出来を見せてくれたので、「上手にできてるね。全部正解だよ」などと言いながら、子供たちのプリントの成果を称えていきました。
今回は「かたちあそび」のプリントと「貼り絵」で2回の塗り絵をしましたが、子供たちは「もっと塗り絵がしたいから、余ってるプリントをもらっていいですか」と私に聞いて、イベントが終了してからも塗り絵に取り組む子たちがいたりして、塗り絵をする熱はイベント終了後も続き、日頃ぬりえイベントを開催している私の心がくすぐられる場面もありました。
イベントを楽しんでくれている姿をイベントの開催の都度確認ができて、私も毎回とても嬉しく感じています。
イベントを楽しみにしてくれている子供たちのために、今後もさまざまな企画を考え、遊びながら学べる機会を持っていけたらと思います。
ウガンダ在住
学習支援スタッフ
2012年12月よりウガンダ在住。
ウガンダ人の夫と13歳違いの娘二人とともにウガンダで生活しています。
我が家の公用語は日本語。日本に10年以上住んだウガンダ人の夫も、ウガンダで生まれた次女も、家族4人で常に日本語で会話をしているため、私の英語力よりも次女の日本語力の方が上達中です。
ウガンダ学習支援では、学校に通っている子も、経済的に学校に通うことができない子も、平等に学びの機会が得られるよう、無料プリントサイトの強みを活かし、「ぬりえ」「数字の学習」「日本文化紹介」など、さまざまな学習のサポートを実施しています。
ウガンダの小学校は義務教育でありながらも、制服代、文具費、給食費などが払えずに学校に通うことができない子ども達が数多くいます。
こういった子ども達の将来のために、少しでも子ども達の学びに貢献できるよう、ウガンダでの学習支援を続けていきたいと思います。
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