第6回 ぬりえで色の学習イベント(2022年10月27日 マスリタチルドレンズビレッジ 開催)
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2022年10月27日、ワキソ地区マスリタにあるマスリタチルドレンズビレッジ(Masulita Children’s Village(MCV))で、学習支援第6回ぬりえイベントを開催いたしました。
マスリタチルドレンズビレッジは、首都カンパラから車で約1時間半のところに位置し、日本のJICA(独立行政法人 国際協力機構)がボランティアを派遣している施設の一つで、ここで青少年活動という職種の隊員として活動をされているJICA海外協力隊の永易亜季子さんとのご縁で、今回のぬりえイベントが実現しました。
マスリタチルドレンズビレッジに到着すると、門が開くと同時にたくさんの子供たちが私たちが乗る車の所に走ってきて、すっかり子供たちにお馴染みとなっている永易さんを呼ぶ「Akiko~」の声が聞こえるなど、子供たちは私たちの到着をとても歓迎してくれました。
私たちが車から降りると子供たちが駆け寄り、手を繋ぎながらカバン作りを学ぶ教室に案内してくれ、教室内はあっと言う間に子供たちで埋め尽くされました。
子供たちはかわるがわる私たちと手遊びをするなど、一緒に遊んで欲しいという気持ちをどんどんとぶつけてきてくれました。
昼食時間になると子供たちと一緒にダイニングルームに行き、私たちも配膳のお手伝い。
ここで生活する約300人の子供たちは、行儀よく自分たちの食事を待ち、配膳が終わると各々好きな場所に散らばり食事を楽しんでいました。
昼食後、ダイニングテーブルをイベント会場まで子供たちと一緒に運び、会場設営をし、いよいよイベントスタートです。
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目次
イベントオープニング
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- イベント開始のあいさつ
- 講師自己紹介
- 学校体験をしよう
この施設で暮らす多くの子供たちは英語が分からないため、通訳のスタッフの方を通じながらイベントを進行させていきます。
また、今回は、永易さんと同じくJICA海外協力隊としてウガンダに派遣されている横山穂佳さんにもお手伝いをしていただきながらイベントを進めていきました。
今回のぬりえイベント開催のお礼を伝えたら、まずは私の自己紹介です。
私はホワイトボードに「Akemi」と書きながら文節に区切って子供たちに読み方を教えます。子供たちは大きな声で復唱してくれるなど元気いっぱい。
続けて、「Sensei」と書き、これは英語の「Teacher (先生)」の意味であることを伝えました。こちらもみんなで大きな声で復唱してくれ、子供たちは読み方を学んでくれました。
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バシャ 明美
みんな大きな声を出すのが得意だね。初めてのぬりえイベント楽しんでね~。
カードを使った色の学習
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- 色の違いを認識するため、カードを使って色の名前を覚える
- 色別に書かれた物の名前を言い、色の違いを区別して色の知識を深める
イベントの最初は色の違いを学ぶ学習です。
「赤、青、黄、緑、オレンジ、紫」の色別カードを準備して、子供たちに色の名前を教えていきます。
子供たちに「この色は何色か分かりますか。」と尋ねると、子供たちからは「Red」「Blue」などと答えが返ってきて、英語で色の名前を理解している子供もいるなど、私を驚かせてくれました。
「そうですね。色は赤です。(Yes, The color is red.)」と話すと、子供たちも一斉に「The color is red.」と続けてくれ、子供たちの元気溢れる声が教室中に響いていました。
色の違いを覚えたら、次は、一枚ずついろいろな物が掛かれているカードで物の名前と色の名前を覚えていく学習です。
子供たちがよく知っている果物や野菜など様々なカードが用意されており、こちらは、「Banana(バナナ)、Yellow(黄)」、「Onion(たまねぎ)、Purple(紫)」などと答えが返ってきました。
消防車など英語での名前が不明なカードもあったようですが、色の違いと同時に英語での物の名前を覚えるきっかけにもなってくれたようで、子供たちの物の名前を覚える学習はどんどんと進んでいきました。
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バシャ 明美
大きな声で色の違いを学習してくれてありがとう。英語でも色の名前を覚えてみよう~。
色別のカードを使ってゲームをしよう
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- カードゲームを通して、色の違いを学ぼう
- ゲームを通して、イベントの参加意欲を高めよう
色の違いを学習したら、次はその知識を生かして、カード取りゲームを実施しました。
子供たちに四つのテーブルに分かれて座ってもらい、それぞれのテーブルに物の名前と色の違いを覚える時に使ったカードを各色二枚ずつ配っていきます。
何が始まるのか分からない状態でカードが配られ、子供たちは興味津々。
「まだ触っちゃだめだよ~。」と言っても子供たちはカードを触りたくて仕方ありません。
「これからカード取りゲームをします。私が例えば赤のカードを見せたら、みんなは目の前にある赤のカードだけを取ってくださいね。他の色のカードを間違えて取らないように気を付けましょう。」と説明をします。通訳のスタッフの方はカードを触りたがる子供たちを諭しながら、子供たちが理解しやすいように説明をしてくれました。
子供たちがどうしてもカードを触りたがるため、子供たちに両手を上げてもらい、カード取りゲームスタートの準備をします。
「準備ができた人は、両手を上げてね~。」と、私もジェスチャーを交えながら子供たちを誘導し、ゲーム開始です。
「 Ready Steady Go (よーい、ドン)! 」のスタート合図をし、私が示すカードを子供たちが確認すると、子供たちは大歓声をあげながらカード取りゲームを楽しんでくれました。
6色あるカードの内、5色のカードを取った強者の子供がいるなど、カード取りゲームは大盛り上がりで終了をしました。
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バシャ 明美
カード取りゲームは楽しかったかな。5色のカードを取った子に拍手~。
色水を使って実験をしよう
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- 色水を混ぜて色の変化を見る実験
- 色の変化を学び、ぬりえに塗る色を考える
カード取りゲームが終わった後は、色水を混ぜて色の変化を見る実験です。
あらかじめ用意した赤、青、黄の色水をテーブルの上に置くと、子供たちは興味津々な眼差しで色水を見ています。
「これからこれらの色水を混ぜて色の変化を見ます。混ぜる色は、赤と黄、黄と青、青と赤です。誰かお手伝いをお願いします。」と伝えると、通訳のスタッフの方が選んでくれた子供たちが前に出てきてくれました。
最初に赤と黄の水を混ぜるのを手伝ってくれたのは、12歳のヘレンちゃんです。
「少しずつ色水をコップに入れてみてね。」と言う私の言葉に合わせるようにゆっくりと色水をコップに注いでくれます。
色水を混ぜた後に何色になったか子供たちに聞いてみましたが、色の変化に気づきにくかったのか、なかなか答えが出てきません。
「色水はオレンジ色になっています。分かりにくかったかな。」と、オレンジ色のカードを混ぜた色水のカードの横に並べ、色を確認してもらいます。
次に黄と青の色水を混ぜてくれたのは、14歳のプロミスちゃんです。
プロミスちゃんにも「この辺りまで水を入れてみてね。」と伝え、コップに少しずつ黄と青の色水を注いでもらいました。
これは変化が分かりやすかったようで、子供たちからは直ぐに「Green(緑)」の答えが返ってきました。
最後に青と赤の色水を混ぜてくれたのは12歳のアナちゃんです。
アナちゃんにも先ほどと同様に、「この辺まで水を入れてみてね。」と伝え、お手伝いをしてもらいます。 アナちゃんに「色水は何色になったかな。」と尋ねましたが、戸惑いの顔。でも参加していた他の子から「Purple(紫)」の答えが返ってきて、みんなに色カードと見比べてもらいました。
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バシャ 明美
色水を混ぜる実験は難しかったかな。みんなお手伝いありがとう~。
ぬりえを塗って遊ぼう
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- いろいろな色のクレヨンを使ってぬりえを楽しむ
- クレヨンを使いながら、運筆の練習をする
- いろいろな色でぬりえを塗って、色彩感覚を養う
イベントの最後はみんなでぬりえをして遊びました。
今回30名の子供たちにぬりえをしてもらう予定でぬりえの紙を準備していましたが、この時間になると外で見ていた子供たちもどんどんと教室に入ってきて、予定人数の二倍以上の子供たちがぬりえに参加をしてくれました。
動物や果物などのぬりえを配り、ぬりえがもらえなかった子には、いつも感想文を書いてもらっている用紙を配り、自由にお絵描きをしてもらいました。
子供たちは色塗りの経験がないと聞いていましたが、驚くことに線をはみ出して色を塗っている子どもはほとんどいませんでした。
後から子供たちに勉強を教えているスタッフの方に「子供たちがとても上手に色塗りをしていますね。」伝えると、「色を塗るときは線の中を塗るように教えているんですよ。」と教えてくれました。
また、お絵描きをしてくれた子供たちも、りんごや教会など、どの子もとても上手な絵を描いてくれ、これにもとても驚かされました。 元気いっぱいにパワーあふれる子供たちの絵は、イベントを主催する私たちにもたくさんの大きなパワーを与えてくれました。
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バシャ 明美
みんな、色塗りもお絵描きもとっても上手だね。すごい! 驚いたよ~。
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参加した子供たちの感想文
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※感想文の一部を掲載しております。
下記のボタンから全ての感想文をご覧いただけます。
今回使用したプリント
学習プリント.comに掲載されているぬりえ
まとめ
今回は、マスリタチルドレンズビレッジという、保護者の元から離れて暮らす子供たちの施設でぬりえイベントを開催しました。
充分な支援も受けられずに、着るものも食べるものも満足ではない環境で暮らす子供たちですが、ここで暮らす子供たちのパワーは、首都で暮らす子供たちにも負けない力強いものを感じました。
どの子供にも笑顔があふれ、なんでも積極的に取り組んでいる子供たちの姿勢は、子供たちがこの施設で暮らす背景を忘れさせるぐらいでした。 私たちは、今後もこちらの施設でのイベントを開催していき、子供たちの笑顔と成長を見ていけたらと思っています。
今回のサポートスタッフ紹介
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ウガンダにJICA海外協力隊として派遣されている
永易亜季子さんの自己紹介
初めまして。永易亜季子と申します。当初中米派遣だったところ、新型コロナウイルスの影響で任国振替となり、ご縁があって2021年10月末からJICA海外協力隊としてウガンダにやってくることになりました!現在、UWESOというNGOのスタッフとして、コミュニケーション(広報PR)と青少年活動の2本を軸に活動中です。子どもたちの笑顔は世界共通、彼らからエネルギーをたくさんもらい、日々格闘中です!
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ウガンダにJICA海外協力隊として派遣されている
横山穂佳さんの自己紹介
2021年度2次隊で、JICA海外協力隊としてウガンダに派遣されております、横山穂佳です。現在派遣されてから、およそ11か月がたちました。JICA海外協力隊であるとともに大学院生でもあるので、ウガンダの教員に対する研究活動も同時に行っています。職種は理科教育で、中高等学校(日本でいう中学校と高等学校)でS1とS2(中学1~2年生)を対象に生物を現地の教員とともに教えています。実験の準備をしたり理科室の整備をしたりする理科関連の活動の他にも、ICTを教えたり図書室の整備を行ったりもしています。現在は感染症の影響で首都に退避しており、永易さんのお手伝いをしております。
ウガンダ在住
学習支援スタッフ

2012年12月よりウガンダ在住。
ウガンダ人の夫と13歳違いの娘二人とともにウガンダで生活しています。
我が家の公用語は日本語。日本に10年以上住んだウガンダ人の夫も、ウガンダで生まれた次女も、家族4人で常に日本語で会話をしているため、私の英語力よりも次女の日本語力の方が上達中です。
ウガンダ学習支援では、学校に通っている子も、経済的に学校に通うことができない子も、平等に学びの機会が得られるよう、無料プリントサイトの強みを活かし、「ぬりえ」「数字の学習」「日本文化紹介」など、さまざまな学習のサポートを実施しています。
ウガンダの小学校は義務教育でありながらも、制服代、文具費、給食費などが払えずに学校に通うことができない子ども達が数多くいます。
こういった子ども達の将来のために、少しでも子ども達の学びに貢献できるよう、ウガンダでの学習支援を続けていきたいと思います。
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