
「歯医者さんに行きたくない ! 」
「歯医者さんは怖いから嫌だ ! 」
そんな風に言いながら大泣きをしている子どもを見ていると、ママやパパの方が泣きたくなってしまいますよね。
これがイヤイヤ期と重なっているなんて場合は「もう手には負えない」と、つらい表情になっているママやパパも多いことでしょう。
お子さんだけでなく、親御さんの中にも「自分も患者として歯医者に行くのは嫌だ」と感じている方は多いかもしれませんが、そんな大人でも怖いと感じる歯医者さんに、子どもに抵抗なく通ってもらおうとするのは、簡単ではありません。
今回の記事では、歯医者さんに行きたがらないお子さんを持つママやパパのために、現役の歯科医師が、子どもが歯医者さんを怖がる理由や、歯医者さんを怖がらないための準備や対策などをアドバイスしてくれています。
さらに、お子さんの不安を解消するために、歯医者さんってこんなところだよという紹介や、歯医者さんが歯科医院で行っている対応や工夫などの内容も紹介していますので、お子さんが歯医者さんを怖いと感じて困っているという方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。

1986年 愛知学院大学 歯学部歯学科卒業。国家試験合格後は、実兄が開業する名古屋市中区 の「記念橋歯科」に7年間勤務し、歯牙保存の基本を学ぶ。
1994年 名古屋市西区に「ゆう歯科クリニック」を開業。その後、2018年に「医療法人 弓音会(ゆみねかい)」を設立し、医療法人としての新たなスタートを切る。
医院は「ともに生きる」を経営の理念として、人生の質に関わる「食べること」「話すこと」のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を大切にし、院長として患者さんのお口の機能の回復と健康維持に日々取り組んでいる。
目次
子どもが歯医者さんを怖がる原因を探ろう
大人でも怖いと感じる方が多い歯医者さんですが、子ども達は歯医者さんに行くことについて、一体どんなことを怖いと感じているのでしょうか。
ここでは、子ども達が歯医者さんを怖がるさまざまな理由を見ていきましょう。
歯医者さんの雰囲気が怖い
皆さんは、歯医者さんのイメージをどのように捉えていますか。
歯科医院の中に入ると、歯医者さん独特の薬剤のにおいがしてきて「歯医者さんに来たな」と覚悟をしたり、待合室で待っていてもドリルで歯を削られる音が聞こえて恐怖を感じたりなど、診察室に入る前から恐怖に怯え、「この歯医者さんの雰囲気が嫌なんだよね~」と思っている方がいるかもしれませんね。
これが感受性の強い子ども達であれば、日常生活にはない歯医者さんの雰囲気に泣きたくなるかもしれませんね。
子ども達は、「こうした恐怖から逃げ出したい」「どんな痛いことをされるのかわからないから不安だ」と感じて、歯医者さんに恐怖を持つようになります。
治療中の子どもの泣き声が聞こえる
待合室で順番を待っていると、診察室で大声で泣いている子どもの泣き声を聞いたことがある方も多いでしょう。
こうした泣き声を聞くと、子どもは「中でどんな痛いことをされているんだろう」「自分もこんな痛い目にあうのかな」と、他の子どもの泣き声で恐怖心があおられることがあります。
こんな泣き声を聞くと、「診察室には入りたくない」「早く家に帰りたい」という気持ちが強くなり、歯医者さんが怖いと感じるようになります。
診察室が怖い
いざ診察室に入ると、見慣れない機械や背もたれが上下に動く電動椅子があり、同じ病院でも、歯科医院と小児科のクリニックとでは、全く違った診察室の雰囲気があります。
また、そもそも病院が嫌いな子にとっては、マスクやゴーグルをつけたり、白衣を着たりしている歯医者さんや歯科助手の方々を見るだけで、病院に対するトラウマが甦り、嫌な気持ちになってしまうかもしれませんね。
このように、見慣れない機械に囲まれる恐怖や、病院は怖いところというトラウマが、歯医者さんを嫌いだと感じる原因になったりします。
口の中を他人に触られるのに慣れていない
ママやパパの手で口を触られるのは、歯磨きの仕上げ磨きなどで慣れているかもしれませんが、知らない人から、何をするのかわからない器具を口の中に入れられるのは、子ども達にとっては不安しかありません。
虫歯の痛み以上に、治療への怖さが増してしまうと、「歯が痛いままでもいいから歯医者さんには行きたくない」という気持ちが強くなり、歯医者さんに行くのを拒否するようになります。
実際、歯医者さんでは多少の痛みを伴うことはあっても、「治療中に痛くて我慢できない」というほどの治療を子どもが受けることは少ないでしょう。
そのため、実際には身体的な痛みよりも精神的な恐怖心が勝ってしまい、歯医者さんを嫌うようになるケースが多いと言えるでしょう。
私たちは誰でも、自分が知らないことに対する未知への恐怖心を持っています。
こうした恐怖を子ども達は素直に感情や言葉に表して、「歯医者さんが怖い」「歯医者さんに行きたくない」と訴えるようになります。
歯医者さんが怖いと感じているお子さんはとても多いかと思いますが、伊藤先生は、歯医者さんに対して恐怖症のある子ども達は、どのようなことが原因でそうなっていると思いますか。

現場にいても、やはりここに書かれていることは、全部当てはまると思いますね。
例えば、私がマスクをしていると、子どもは私の表情が見えないでしょ。
そうすると、子どもが不安になって余計に歯医者への怖さを感じることがあるので、最近は新型コロナウイルスなどの感染予防もあってできませんが、以前は子どもの治療の時はマスクを外して診察をする工夫などもしていましたよ。
また、子どもだけじゃなくて、親御さんの方も歯医者を怖いと感じていることも多いんですよね。
だから、そういったお父さんやお母さんの恐怖心が子どもに伝わって「歯医者さんは怖いところ」という印象を子どもも持ってしまうなんてこともあるよね。
そのため、昔は子どもが悪いことをすると「歯医者さんに連れて行って痛いことをしてもらうよ」なんて言って諭す親御さんもいましたよ。

子どもが歯医者さんを怖がらないための準備や対策とは?
子ども達は、精神的な恐怖から「歯医者さんが怖い」と感じている場合が多くありますが、こうした恐怖心を取り除いて、子どもが歯医者さんに抵抗なく通うようになるためには、いったいどんなことをしていけばいいのでしょうか。
ここでは、子どもが歯医者さんを怖がらないようになるための準備や対策などを紹介していきます
歯医者さんを身近な存在に感じてもらおう
知らないものへの恐怖を失くすための工夫の一つに、歯医者さんを題材にした絵本などを利用して、歯医者さんを身近に感じてもらう方法などがおすすめです。
日頃から歯医者さんについて書かれている絵本を読み聞かせするようにすると、歯医者さんではどんなことをするのか、歯医者さんって本当は怖くないところなんだと、子どもが理解できるようになるでしょう。
子どもが歯医者さんへの理解を深めることで、歯医者さんに行くことを楽しみに感じてくれるようになるかもしれませんよ。
歯医者さんを題材にしたおすすめの絵本
幼児(4・5歳)向け
小学校 低学年向け
また、歯医者さんを身近に感じてもらう方法のもう一つに、子どもが通う予定の歯医者さんのホームページで、あらかじめ歯医者さんの顔や院内の雰囲気を確認しておくという方法もおすすめです。
自分がこれから行く歯医者さんはどんな雰囲気のところで、どんな歯医者さんに会うのかが分かっていると、子どもも安心感を抱くことでしょう。
知らないものへの恐怖心をなるべく取り除いてあげ、「歯医者さんって楽しそう」っていう気持ちをお子さんが持てるよう、日頃からご自宅でも工夫してあげられたらいいですよね。
親の歯の治療に子どもを連れていき、歯医者さんに慣れてもらおう
親御さんが歯医者さんに通う時は、せひお子さんも一緒に連れて行ってあげるといいでしょう。 あらかじめ歯医者さんがどんなところかが分かっていたり、歯医者さんの雰囲気を知ったりすることで、子どもも安心感が得られる場合があります。
歯医者さんに行く前には、お子さんに「歯医者さんに行くのが楽しみだなぁ」という気持ちを伝えたり、治療後には「歯医者さんは全然怖くなかったよ」「これで美味しいご飯がたくさん食べられるようになるからうれしい」などと、ポジティブな話をしてあげたりすることで、子どもも歯医者さんへ行くことへの楽しみを持てるようになるでしょう。
乳歯の生え始めの頃から定期健診を受けよう
子どもの虫歯というのは、乳歯が生え始めた時からそのリスクを抱えるようになります。
「乳歯ならどうせ抜けて永久歯が生えてくるから、虫歯になっても問題ないんじゃないか」と考える方がいるかもしれませんが、乳歯の虫歯を放置しておくと、顎の発達に影響が出て噛み合わせが悪くなったり、永久歯の成長に影響が出て、虫歯になりやすい歯が生えてくるようになったりする場合があります。
そのため、子どもの自我が強くなる前から歯医者さんで定期健診を受けるようにすることで、子どもが歯医者さんに慣れたり、虫歯になるリスクを減らしたりできるため、歯医者さんに通うことが当たり前となり、子どもが恐怖を感じるような治療もしなくて済むようになります。
3ヶ月に一度は定期健診を受け、フッ素の塗布をしてもらって、子どもの歯の健康を守っていくといいでしょう。
歯科治療を受ける時は、事前に子どもに歯医者さんに行くことを伝えよう
子どもが歯医者さんに行くことを嫌がるからと、歯医者さんに行くことを隠して歯医者さんに連れて行けばいいと考える親御さんがいるかもしれませんが、これは、お子さんが親御さんに対する信頼を失くすだけでなく、ますます歯医者さんが嫌いだと感じるようになるきっかけを与えることにも繋がりかねません。
子どもが歯医者さんに行くときは、嘘をついて外に連れ出したりせずに、事前に歯医者さんに行くことを伝えるようにして、子どもの心の準備ができるようにしてあげましょう。
歯医者さんを予約する時間帯は、子どもの生活リズムにあわせよう
例えば、子どもが公園で遊んでいる途中で無理に歯医者さんに連れて行ったり、お昼寝で子どもが眠いはずの時間帯に診療の予約をしたりすることは避けるようにしましょう。
子どもを歯医者さんに連れて行くのは、普段の生活で子どもが最も機嫌のいい時間帯にするようにし、午前中の体調の良さそうな時間帯や、午後であればお昼寝後の時間帯を選ぶことで、歯医者さんに行くのを嫌がるリスクを減らすことができます。
子どもをしっかりと褒めてあげよう
子どもが歯医者さんの治療を頑張ったことはもちろん、歯医者さんに行くことができたことに対してもしっかりと褒めてあげるようにしましょう。
子どもは褒めてもらえることで、自分自身に自信が持てるようになります。
歯医者さんに行けたこと、泣かずに待合室で待てたこと、歯医者さんで治療を頑張ったことなど、全てが子ども自身の成功体験に繋がっていきます。
こうした成功体験の積み重ねが恐怖心から自信に変わり、歯医者さんに対するトラウマを取り除いて、また歯医者さんに行きたいと思えるようになることでしょう。
治療後のご褒美を用意しよう
歯医者さんで頑張れたら、ご褒美を約束してあげるのも一つの手段です。
例えば、「歯医者さんの後に公園で遊ぶ約束をする」「歯医者さんが終わったら好きなおやつを一つ買ってあげる」など、子どもが喜ぶ楽しみを作ってあげると、子どもが歯医者さんの治療を頑張ろうと思うきっかけになるでしょう。
親御さんが負担になるようなご褒美ではなく、日頃子どもが楽しみにしていることをご褒美に置き換えて約束をしてあげることで、お子さんも前向きに治療に取り組めるようになりますよ。
以上のように、子どもが歯医者さんを怖がらないようにするためには、子どもの気持ちをいかに前向きなものにしていくかがポイントです。
お子さんの気持ちを大切にし、親御さんの方からお子さんが歯医者さんに行くことに対して積極的な気持ちになれるような働きかけをしてあげるようにしましょう。
お子さんの歯医者嫌いに苦労している親御さんは数多くいますが、歯医者さんの立場から考えて、お子さんの歯医者嫌いを克服するために一番いいと思う方法には、どんなことがありますか。

やっぱり、歯医者に通うことを家族の日常に取り入れ、お父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、家族みんなで定期健診を受けるようにして、歯医者に行くことを当たり前の状態にしておくといいんじゃないかな。
兄弟姉妹がいれば、お兄ちゃんやお姉ちゃんが「大丈夫だから頑張れ ! 」と勇気をくれることもあるだろうし、身近な家族が歯医者に行くことを当たり前にしていれば、自然と小さなお子さんでも歯医者さんに行くことを当たり前のように受け入れられるようになると思いますよ。
小さなお子さんの場合だと、1歳半健診の時に歯科健診があるので、その時には必ず健診を受ける必要がありますが、できればその前の前歯が上下4本ずつ(総本数8本)生えてきた頃の1歳あたりから歯医者デビューができるといいですね。
前歯が大きくなってくれば、フッ素を塗布することもできるようになるので、虫歯予防におすすめですよ。
また、保育園や幼稚園に通っているようなお子さんなら、園のお友達が通っている歯医者さんの情報を聞いて、様子を伺ってみるのもいいですよ。
「お友達が通っている歯医者さんは痛くなかった」なんて情報があると、「じゃあ、自分も同じ歯医者さんに行って頑張ってみよう」という前向きな気持ちになれますからね。

子どもの不安を解消! 歯医者さんってこんなところ
歯医者さんって何するところ?
歯医者さんと聞くと、子ども達は「怖い」「痛い」などのイメージを連想するかもしれませんが、実際、歯医者さんではどんなことをしているのでしょうか。
治療 | 予防 |
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歯医者さんでは、虫歯などの治療のほかに、虫歯にならないようにするための予防として、定期健診やフッ素の塗布などを行っています。
子ども達が持つ「怖い」「痛い」などのイメージは、虫歯の治療の際にドリルで歯を削るときの様子からきているかもしれませんが、小さい年齢のうちから虫歯予防のための定期健診やフッ素の塗布などを行っていれば、虫歯を防ぐことができ、子ども達が怖がるドリルで歯を削るような状況を避けることが可能です。
お子さんに、歯医者さんは治療のほかに、虫歯予防をしてくれるところであることを伝え、「痛い治療をしなくてもいいよう、歯医者さんに定期的に通おうね」と伝えてあげましょう。
歯医者さんが使っている器具を知ろう
歯医者さんの診察室には、私たちが日頃見慣れない特殊な器具がたくさん並んでいます。
トレイの上に並んでいる器具や、私たちが座る椅子に付属されている器具など、数多くの器具がありますが、それらは一体どんな役割を持っているのでしょうか。
事前に、歯医者さんはどんな器具でどんな治療や虫歯予防をしているのかを知っていれば、子ども達も「歯医者さんはいまこの器具を持っているから、次はこんなことをするのかな」と、少しは安心できるようになるかもしれません。
ここでは、歯医者さんでよく見かける器具とその役割について紹介いたします。

器具名 | 役割 | 器具の写真 |
---|---|---|
ピンセット | 綿球、歯科治療で使う材料など、小さなものをつかむために使用される | ![]() |
充填器(じゅうてんき) | 虫歯の治療後の詰め物や仮詰め、銀歯の接着用セメントの塗布に使用される | ![]() |
エキスカベーター | 先が小さな刃物になっていて、う蝕部分を細かく削るときや、仮の詰め物を外すときに使用される | ![]() |
探針(たんしん) | 先が針のようになっていて、歯の周りの汚れや虫歯の確認、銀歯を歯にセットしたときの余計なセメントを取り除くために使用される | ![]() |
ミラー | 口の中の見えにくい部分を確認したり、舌を押さえたりするために使用される | ![]() |
器具名 | 役割 | 器具の写真 |
---|---|---|
ロールワッテ | 円柱の形に成形した綿花で、歯の治療中に唾液を吸い取って、治療する場所を乾燥した状態に保つためために使用される | ![]() |
ガーゼ | 治療中に器具の汚れを拭き取ったり、被せ物を装着する際の余分なセメントを除去したり、抜歯後の止血をしたりなど、幅広く使用される | ![]() |
小綿球 | 小さな球状の綿花で、口の中を拭いたり、薬を塗ったりするなど、さまざまな用途で使用される | ![]() |
プローブ | 歯周ポケット(歯と歯ぐきの間のすきま)に直接触れて、歯周病の進行具合を確認するために使用される ※子どもに使用されることはない |
![]() |
咬合紙(こうごうし) | 上下の歯のかみ合わせの状態を確認するために使用される | ![]() |
器具名 | 役割 | 器具の写真 |
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3wayシリンジ
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口の中の洗浄、乾燥、知覚過敏の有無などを調べるのに使用される | ![]() |
タービン | 風力で、1分間に30万回転以上の高速回転で動き、歯や金属などの硬い部分を削る際に使用される | ![]() |
ハンドピース コントラ |
虫歯になった柔らかい部分を削ったり、仕上げの研磨をしたりする時に使用される | ![]() |
ハンドピース ストレート |
歯の被せものの調整や研磨などを行うもので、口腔外で使用される ※子どもに使用されることはない |
![]() |
エアースケーラー | 歯のクリーニングで、歯石を除去する際に使用される ※子どもに使用されることはない |
![]() |
バキューム | 口の中に溜まった水や粉塵を吸い取る際に使用される | ![]() |
排唾管 | 口角に引っ掛けて使われ、口の中の唾液や水を吸い取る際に使用される | ![]() |
ここで紹介しているものは、歯医者さんで使用されている器具の一部であり、また、お子さんの歯科治療ではあまり使用されないものも含まれています。
子ども達が歯医者さんを怖がる原因にもなっている音の正体は、電動椅子 (ユニット) についている器具から出る音です。
そのため、特にこうした音の源となる器具について知っておくことで、お子さんの不安が少しは解消されるかもしれません。
歯医者さんで使っている器具にはどんなものがあり、どんな役割があるのかを知ることで、歯医者さんを身近に感じてもらえたらいいですよね。
【実例紹介】子どもが歯医者さんに行きたくなる !「ゆう歯科クリニック」での工夫とは?
子どもから歯医者さんに行きたくないなどと駄々をこねられたら、ママやパパもどうしたらいいのかと、悲しい気持ちになってしまいますよね。
そんなママやパパの負担を少しでも減らしてもらえるよう、この記事の監修医師である伊藤 裕章 先生が経営されている「ゆう歯科クリニック」では、お子さんが歯医者さんに行きたくなるための工夫として、どんなことをしているのか伺ってみました。
子どもに、これから使う治療器具を触ってもらおう
機械に囲まれた椅子に座ると、緊張したり、恐怖を感じたりして、泣き出してしまう子どもも少なくありません。
そんなお子さんのために、伊藤先生はこれから使う治療器具について説明し、これがどんな動きをするのか、どんなことをするために使うのかを教えてあげています。
その例には、歯医者さんが口の中を見る時に使う「ミラー」を使って一緒に口の中を見たり、口の中に溜まった水や粉塵を吸い取る際に使用される「バキューム」で口の中やほっぺたを吸ってあげたりなどがあります。
こうすることで、子ども達は、これから使う器具がどんなものなのか、それが本当に怖い器具なのかを確認できるため、安心感をもって治療に臨むことができます。
こうした伊藤先生の配慮のおかげで、子ども達は知らないものを知ることができ、怖がることなく治療に臨め、歯医者さん側もお子さんが嫌がって暴れることを防げるため、治療中の安全も確保できて一石二鳥のアイデアですよね。
空気清浄機を設置して、においを軽減しよう
歯医者さんに入るとしてくる、あの独特のにおい。
あのにおいが嫌で歯医者さんが苦手だと感じている方がいるかもしれませんね。
子ども達はそういったにおいに慣れず、不快な気持ちになってしまうことがあるかもしれません。
歯医者さんでのにおいは、歯科治療で使われる麻酔などの薬剤やホルマリン、歯を削った時の焦げたにおいなどさまざまです。
ゆう歯科クリニックでは、こういったにおいをなるべく軽減できるよう空気清浄機を設置して、皆さんが不快に感じるにおいを抑えるように努めています。
使い捨て紙トレイの使用で、金属音を減らそう
皆さんは歯医者さんが使用する器具などを、銀色の金属トレイの上にのせているのを見たことがありますか。
一般的に歯科医院ではこうした金属トレイを使用して器具を扱うことが多くなっていますが、金属トレイを使用すると、器具を使用するたびに耳元でカチャカチャという金属音が聞こえてきます。
ゆう歯科クリニックでは、こうした金属音に敏感な方々に配慮し、音の不快感を軽減するために、金属トレイではなく「紙トレイ」を使用して音に対するストレスが軽減できるように工夫しています。
ご褒美を準備して、子ども達を喜ばせよう
「歯医者さんに行ったら、シールをくれた」など、歯医者さんからご褒美をもらったことがあるお子さんは多いかもしれませんね。
ご褒美があることで、お子さんは「またあの歯医者さんに行きたい」などと感じてくれるため、ゆう歯科クリニックでも治療を頑張ったお子さんにご褒美を渡すようにしています。
多くの歯科医院でさまざまなご褒美を用意しているかと思いますが、ゆう歯科クリニックでお子さんに渡しているご褒美は「風船」です。
風船は、投げたり転がしたりなどして遊べるため、お子さんに大人気のご褒美ですが、実は、風船は遊びの要素だけではなく、膨らませることでお口の周りの筋肉(口輪筋(こうりんきん))を鍛えることができる、子どもの発達にもうれしいご褒美なんですよ。
最近では「子どもが柔らかい物ばかりを食べるようになり、口輪筋が発達せずに風船を膨らませることができない」なんてことが増えてきています。
口輪筋が発達しないと口腔機能が低下して、歯並びが悪くなったり、食事や話をする時に困難が生じたりする恐れもあります。
風船などを使って小さいうちから口輪筋を鍛えて、子どもの口腔機能の低下を防いでいきたいですね。
伊藤先生が経営する「ゆう歯科クリニック」では、お子さん達が喜ぶようなさまざまな工夫をされていて、親御さんの方がお子さんを伊藤先生のクリニックに連れていきたいと思ってくれているかもしれませんね。
そんな、さまざまな工夫をされている伊藤先生から、お子さんが歯医者さんに行きたくないと言って悩んでいる親御さん達に何かアドバイスはありますか。

歯って一生付き合っていくものだから、やっぱり子どもの時から大切にしたいよね。
歯が虫歯になって、食べたいものを美味しく食べられなくなるなんて悲しいし。
だから「いつまでも食べたいものをずっと美味しく食べ続けるために、定期的に歯医者さんに行って歯を綺麗にしてもらおうね」と、お子さんに伝えてあげてほしいですね。

まとめ
今回は、「歯医者さんが怖い」と感じるお子さんの原因や、歯医者さんを怖がらないための準備と対策、そして歯医者さんではどんなことをして、どんな役割の器具を使っているのかなどを紹介していきました。
大人でも怖いと感じている方が多い歯医者さんに、感受性の強い子どもを連れて行くのは大変かもしれませんね。
歯医者さんに通うことに慣れていないと、歯医者さんを怖いところ、痛いことをされるところなどの印象を子どもが持つようになるかもしれませんが、乳歯の生え始めた小さな頃から歯医者さんに通うようにしておくことで、歯医者さんにも慣れ、スムーズに歯医者さんに行けるようになることでしょう。
また、少し大きくなって歯医者さんには行きたくないと泣いてしまうような状況があるようであれば、今回紹介したような歯医者さんを怖がらないための準備や対策をぜひ参考にしていただき、歯医者さんをもっと身近に感じてもらうようにするのもいいでしょう。
日頃からの虫歯予防は、将来の健康にも繋がっていきます。
3ヶ月に一度は歯の定期健診を受けるようにして、家族みんなで歯の健康を守っていきましょう。