子どもの歯のプリント
子どもの歯に関する
基礎知識
乳歯の生え始める時期と順番
乳歯は全部で20本!-
1. 生後6~9か月
下の前歯(乳中切歯)
2本
(総本数:2本) -
2. 生後10か月~1歳前後
上の前歯(乳中切歯)
2本
(総本数:4本) -
3. 1歳前後
上下の前歯の隣りの歯(乳側切歯)
上下2本ずつ
(総本数:8本) -
4. 1歳半前後
手前の奥歯(第1乳臼歯)
上下2本ずつ
(総本数:12本) -
5. 2歳前後
前歯と奥歯の間の歯(乳犬歯)
上下2本ずつ
(総本数:16本) -
6. 2歳半前後
1番奥の奥歯(第2乳臼歯)
上下2本ずつ
(総本数:20本)
※上記の時期はあくまでも目安です。歯の生え始める時期は子どもによって1年ほどの差があります。
※子どもによっては歯の生える順番が違う場合があります。
虫歯菌が口の中に入ったら、
すぐにむし歯になっちゃうの?
食べ物や飲み物が口の中に入ると、虫歯菌が糖を酸に分解し、口の中を酸性にして歯のエナメル質を溶かします(脱灰)。しかし、唾液が時間をかけて口の中を中性に戻し、唾液に含まれるカルシウムやリンでエナメル質を再び修復(再石灰化)させるようになります。
口の中ではこの脱灰と再石灰化を常に繰り返しているため、口の中を清潔に保っている場合、すぐにむし歯になることはありません。
むし歯になるメカニズム
口の中では「脱灰」と「再石灰化」が常に繰り返し行われているため、すぐにむし歯になることはありませんが、口の中に食べ物が長時間付着していたり、歯みがきをしても磨き残しがあったりすると、脱灰の時間が長くなってしまい、歯を修復する再石灰化の時間が短くなるため、歯の修復が追いつかなくなります。
そうすると、溶かされ続けたエナメル質に穴が開いて、むし歯ができるようになります。
食生活の改善によるむし歯予防
むし歯を防ぐためには、食べ物や甘い飲み物を長時間口の中に含んだり、付着させたりしないこともむし歯予防の一つの方法になります。
そのため、下記のことに注意して食生活を見直すようにしましょう。
- 哺乳瓶で甘いジュースを飲ませない
- だらだら食べをやめる
- 時間にメリハリをつけて食事や間食をする
- チョコレートやキャラメルなど粘着性のある食べ物は、特にむし歯になりやすいことを知っておく
- 食べ物はよく噛んで唾液を多く出すようにする
- 食事の後は、お茶などを飲んで口の中に食べかすを残さないようにする
- 睡眠中は唾液の量が少なくなるため、夜食は控える
永久歯は乳歯が抜けてから
作られるの?
永久歯は赤ちゃんがお腹の中にいる時から、既に永久歯の種となる歯胚(しはい)の形成を開始しています。
つまり、乳歯が生え始めた時には、乳歯の下には既に永久歯が存在することになります。
そのため、乳歯がむし歯になり歯の根っこまでバイ菌が侵入して膿が溜まると、永久歯の発育が十分に行われずに、エナメル質の形成がうまくできない「ターナー歯」と呼ばれる歯が誕生するようになります。
ターナー歯となった永久歯は、乳歯から生え変わって歯茎の外に出てもエナメル質が十分に形成できないため、むし歯になりやすくなります。
子どもの歯は
なぜむし歯になりやすいの?
子どもの時に生えている乳歯や、生え変わったばかりの永久歯は、大人の永久歯に比べると歯の象牙質や神経(歯髄)を覆っているエナメル質の厚さが半分程度と言われています。
そのため、口の中に糖が侵入するとエナメル質がすぐに溶けて穴が開き、むし歯がとても早く進行してしまいます。
歯が石灰化して十分な強度を持つためには、3年ほどの年月がかかります。
そのため、石灰レベルの低い子どもの歯は、大人の歯に比べてむし歯になりやすいと言えるでしょう。
乳歯のむし歯を放置したら
どうなるの?
「乳歯はどうせ生え変わるから」と、乳歯のむし歯を治療せずに放置すると、後から生える永久歯に下記のような影響を与える恐れがあります。
- 正しい位置で食べ物を噛むことができなくなり、顎が発達しなくなる
- むし歯で乳歯が失われると、永久歯が斜めに生えて歯並びが悪くなる
- 虫歯菌が乳歯の根っこに到達すると、その下にある永久歯に悪影響を及ぼし、エナメル質が十分に形成できない質の悪い永久歯が生える
- 歯の痛みから固いものや繊維の多いものが食べれずに偏食になる
乳歯だからといってむし歯を放置せずに、将来の子どもの歯の健康のために、虫歯治療を行うようにしましょう。
しなくなる
悪くなる
永久歯が生える
大人が使ったスプーンで
赤ちゃんが食事をすると、
赤ちゃんがむし歯になるって本当?
赤ちゃんの歯がむし歯にならないようにするために、皆さんはこんな話を聞いたことがありませんか
- 大人が使ったスプーン、フォーク、箸、コップなどの食器類を子どもと共有しない
- 大人が食べた食べかけのものを子どもに与えない
- 食べ物などを冷ますときに息を吹きかけない
これは、現在の日本でよく言われている赤ちゃんのむし歯対策の内容です。
しかし、2023年8月31日に日本口腔衛生学会は「食器の共有をしないことで、う蝕(むし歯)予防できるということの科学的根拠は必ずしも強いものではありません」という意見を発表しました。
食器の共有が理由で赤ちゃんがむし歯になるという強い科学的根拠はないとの見解が示されているので、食事中は食器の共有によるむし歯を気にするよりも、家族で楽しく食事をすることを心がけたいですね。
子どもの歯のケアに
必要なことってなに?
子どもがむし歯にならないようにするためには、お口の中を清潔に保つ必要があります。
それぞれの成長の時期に応じて、下記のような歯のケアを行っていきましょう。
-
乳歯が生える前
口腔感覚を養うため、赤ちゃんの口の周りをママやパパの清潔な指で触ったり、口の中に入れても大丈夫なおもちゃで遊ばせる
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乳歯の生え始め
食後の後は、湿ったガーゼや綿棒などで歯の汚れを拭き取る
-
上の前歯が生えてきたら
歯ブラシを使って歯みがきを開始する
-
奥歯が生え始めるころから
定期的に歯科医院で歯の歯垢を除去したり、フッ素の湿布をしてもらったりする
永久歯がしっかりと生えそろうまでは、大人が仕上げみがきをして磨き残しがないようにしましょう。
子どもも歯肉炎になるって本当?
子どもの歯が生え変わる時に「萌出性歯肉炎(ほうしゅつせいしにくえん)」と呼ばれる歯肉炎になることがあります。
これは、永久歯が歯茎の中からゆっくりと時間をかけて外に出てくる間、歯みがきの際に歯ブラシをうまくその場所にあてることができず磨き残しがあると、だんだんと歯茎が腫れて歯肉炎になる疾患のことです。
そのため、磨き残しをしないためにもヘッドの小さな「タフトブラシ」などを使って、しっかりと歯磨きをするようにしましょう。
乳歯がぐらついたら
すぐに抜いた方がいいの?
乳歯が永久歯に生え変わる時に、歯がぐらついて子どもから「歯が痛い」と言われることがあります。
歯がぐらついていると、食事や歯磨きの時に痛みを感じることがありますが、無理矢理抜いてしまうと、歯茎を傷つけてその傷から細菌が侵入する可能性があります。
そのため乳歯がぐらついても自然に抜けるまで様子を見るようにし、どうしても痛みが強い場合は歯肉炎になっている恐れもあるため、歯科医院で相談をするようにしましょう。
ゆう歯科クリニック 伊藤先生
監修記事一覧
1986年 愛知学院大学 歯学部歯学科卒業。国家試験合格後は、実兄が開業する名古屋市中区 の「記念橋歯科」に7年間勤務し、歯牙保存の基本を学ぶ。
1994年 名古屋市西区に「ゆう歯科クリニック」を開業。その後、2018年に「医療法人 弓音会(ゆみねかい)」を設立し、医療法人としての新たなスタートを切る。
医院は「ともに生きる」を経営の理念として、人生の質に関わる「食べること」「話すこと」のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を大切にし、院長として患者さんのお口の機能の回復と健康維持に日々取り組んでいる。
http://www.youdc.jp